第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会のプレスカンファレンスが、大会最終日の9月7日に国立京都国際会館で行われた。
なお、カンファレンスは当初、ICOM会長のスアイ・アクソイと事務局長のピーター・ケリーにより決議が発表される予定だったが、会議スケジュール変更のため急遽欠席となった。代わりに、ICOM京都大会2019の組織委員長である、京都国立博物館長の佐々木丞平と、運営委員長の栗原祐司が、おもに日本の立場から本大会における成果を発表した。
「Museum」の定義は改正ならず
まず、本大会最大の焦点となった、臨時総会での「Museum」の定義の改正については、新定義案の採択は見送りとなった。新定義案に関しては、大会を前に様々な委員会より「定義というより理念だ」「単語の選択が不適切」といった意見が出され、臨時総会でも活発な議論が展開された。
大会前に5つの国際委員会と24の国内委員会から「協議時間が足りないので採択を延期すべき」との意見が出ていたことを反映するかたちで、今回は採択延期の可否のみを決議。結果、賛成多数で新定義案の採択は延期となった。
もし、今大会で採決されていれば、日本の博物館法見直しにも影響する可能性があったが、少なくとも3年後に開かれるプラハ大会までは、現在のままとなる見通しだ。
ICOM日本が提出した2本の決議案は採択
大会毎に採択される決議案については、ICOM日本より提出されていた「The Integration of Asia into the ICOM Community(アジア地域のICOMコミュニティへの融合)」と、「Commitment to the Concept of ‘Museum as Cultural Hubs’(「Museum as Cultural Hubs」の理念の徹底)」の2つの決議案が採択となった。
とくに「The Integration of Asia into the ICOM Community」について、佐々木は「ソウル、上海、そして京都と、アジアで3回の大会を積み重ねてきた成果であり、これまでヨーロッパが中心であったICOMにおいて、アジアの発言力を高めていける契機だ。韓国、中国、台湾、シンガポールなどの近隣各国と連携しながら、ICOMにおけるアジアの発言力を高めていきたい」と語った。
また、今大会ではICOMの31番目の国際委員会として、「災害対策委員会」から再編成されるかたちで「博物館防災国際委員会」が発足。運営委員長の栗原がボードメンバーにも選出された。
本大会の参加者数は4590人、そのうち日本人が1866人と、ともに大会史上過去最高を記録。佐々木は次のように成果を強調する。「初開催ながら予想を上回る成功を収めた。多くの国内の学芸員が参加してくれたことを嬉しく思う」。
なお、他の採択決議案の詳細は、ICOMのホームページにて、順次発表される予定。