EXHIBITIONS

館勝生 1980s-1990s

2022.05.11 - 05.29

館勝生 the final hour is here 1995

 短い画業のなかで抽象表現を変化させた美術家・館勝生(たち・かつお、1964 〜2009)。その展覧会「館勝生 1980s-1990s」がYoshimi Artsで開催されている。

 三重県で生まれ、大阪芸術大学芸術学部美術学科で学んだ館は、コンセプチュアル、ミニマル、ニューペインティングが混在しているなかで、身体の感覚に近い絵画を表現方法に選んだ。館の実家は養蜂場を営んでおり、自然のなかで四季や朝夕の時間の移り変わりを肌で感じてきたその体験からインスパイアされ、虫を抽象的に描くようになったという。

 1990年代中頃の作品では、虫のようなモチーフが解体されて、絵画の構造が画面全体に立ち上がり、突然出現した球体が宇宙的な空間をつくり出した。それが2000年に入ると、激しい生命観を持ったような抽象化された有機体になり、それとともに大きな余白が出現し、その余白が時間を生み、時間のなかにおい、浮遊する有機体が、激しくも限りあるものに見えてくる。

 本展は、館の初期作品にあたる1980年代から、ひとつの達成を得た1990年代までの作品で構成し、2000年代の作品に至るまでの作家の足跡をたどる。

 出品作は、1988年に20代で描いた油彩1点、1995年の阪神・淡路大震災でアトリエが甚大な被害を受けたために、あまり作品が残っていない時期にあたる1994年作のドローイング3点と1995年の油彩1点、そして1996年の大作1点の計6点。