EXHIBITIONS

スタンディング・ポイントⅢ

ハンネ・ダルボーフェン

ハンネ・ダルボーフェン “楽しやジプシー生活“ 1980
撮影=村松桂(株式会社カロワークス) ©︎ 慶應義塾大学アート・センター

ハンネ・ダルボーフェン 環境〈80〉:今日(ヴァルター・メーリングのために) 1980(139シートのうちの1枚)

ハンネ・ダルボーフェン 環境〈80〉:今日(ヴァルター・メーリングのために) 1980
撮影=村松桂(株式会社カロワークス) ©︎ 慶應義塾大学アート・センター

ハンネ・ダルボーフェン 環境〈80〉:今日(ヴァルター・メーリングのために) 1980
撮影=村松桂(株式会社カロワークス) ©︎ 慶應義塾大学アート・センター

 慶應義塾大学アート・センターでは、若い世代が学ぶ大学という場でこそ、現代という同時代を生きる/生きたアーティストたちの作品と出会い、多様な視点に触れる機会をつくることが重要と考え、現代美術展を企画している。

 2017年度からの「スタンディング・ポイント」シリーズでは、自立した立脚点をもつ現代作家を紹介し、アートの現代社会における可能性を問いかけてきた。第1回の寺内曜子(2017年春)、第2回のアナ・メンディエタ(2019年春)に続き、シリーズを締めくくる第3回では、ハンネ・ダルボーフェンを取り上げる。

 ドイツの作家ハンネ・ダルボーフェンの作品は、整えられたフォーマットのなかに重層的な時間をたたえ、はるかに過去や未来を含んだ現在への問いかけを淡々と訴えている。すべてが均質化するような時間体験をもたらしたコロナ状態を生き続け、さらにロシアによるウクライナ侵攻という歴史的事件に直面しているいまこそ、ダルボーフェンの作品の呟きに耳を傾けるべき時であるといえるだろう。