EXHIBITIONS

伝教大師1200年大遠忌記念

特別展「最澄と天台宗のすべて」

菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音) 鎌倉時代・13世紀 愛媛・等妙寺蔵

薬師如来立像 平安時代・11世紀 京都・法界寺(真言宗醍醐派)蔵 重要文化財

聖徳太子及び天台高僧像 十幅のうち 最澄 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵 国宝
画像提供=東京文化財研究所 展示期間:4月12日~5月1日

釈迦金棺出現図 平安時代・11世紀 京都国立博物館蔵 展示期間:5月3日〜5月22日

金銀鍍宝相華文経箱 平安時代・長元4(1031)年 滋賀・延暦寺蔵 国宝

延暦寺 根本中堂 外観

延暦寺 根本中堂 外観

 特別展「最澄と天台宗のすべて」が京都国立博物館に巡回する。2021年から東京、九州(福岡)を巡回した本展は、同館が最終会場となる。

 昨年(2021年)は、平安時代のはじめに仏教界に新風をもたらした伝教大師最澄の1200年の大遠忌にあたる。最澄は「悟りに至る道はすべての人に開かれている」という平等思想を説いた『法華経』に心惹かれ、この教えをいしずえとする「天台宗」を日本で広めた。

 最澄が打ち立てた日本天台宗は、『法華経』に最澄が中国で学んだ密教・禅・大乗戒を加えた「円教・密教・禅・大乗戒」の4つを柱としている。すべてのものに仏になる素質があることを説く『法華経』の一乗思想を教えのいしずえとしながら、弟子たちによって多様に展開した教学は、その後、多くの祖師たちを育む母体となった。東には琵琶湖を、西には京の都を見下ろす比叡山に、最澄が創建した延暦寺は、日本史上、多くの高僧を輩出し、天台宗が説いた多様な教えは日本文化に大きな影響を及ぼしている。

 本展では、日本各地で守り伝えられてきた天台宗の貴重な宝物や、『法華経』の説く万民救済の精神をあらわす文化財を展示する。延暦寺における日本天台宗の開宗から、東叡山寛永寺を創建して太平の世を支えた江戸時代に至るまでの天台宗の歴史をたどる。

 とくに京都会場では、京都を中心に、京都と密接な交流があった北陸、西国の寺院などの名宝によって天台宗の歴史を紹介。京都国立博物館から一歩足を延ばせば、天台宗ゆかりの名所旧跡が付近に数多くあり、展覧会とともにその歴史を実感できるまたとない機会となるだろう(会期中、一部展示替えあり)。