EXHIBITIONS
Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022 受賞記念展
「Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022 受賞記念展」が東京都現代美術館で開催。本アワード第2回受賞者、藤井光と山城知佳子による作品を個展形式で展示する。
「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」は2018年、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペースによって創設された現代美術の賞。海外での展開も含め、さらなる飛躍とポテンシャルが期待できる国内の中堅アーティストを対象としている。
第2回受賞者の藤井光は、1976年東京都生まれ。紛争や事故などの厄災に起因する、あるいはそれにより顕在化した社会構造の不条理を主題に映像インスタレーションを制作する。藤井が設定した、史実に基づく出来事の再演や実際的な議論の場を通して、その主題が私たちの日常に潜む諸問題と地続きであることを示している。
もうひとりの受賞者、山城知佳子は1976年沖縄県生まれ。出身地・沖縄を舞台に映像や写真の制作を行う。地理的要因により独自の歴史や文化を持つ沖縄の、戦争の継承や戦後の政治的構造について、時には自身も被写体となり、肉体や声など、身体を通じて問題提起する。また、物語性を取り入れることで新たな視座で沖縄をとらえ、壮大さと普遍性を獲得している。
本展で藤井は、戦後の、絵画をめぐる議論を、アメリカ占領軍が残した公文書から考察した新作を発表。いっぽう制作過程において次作のビジョンが見えるという山城は、沖縄でのリサーチを軸にした新作と、それにつながる過去作品を展示する。
また展覧会の開幕にあわせ、藤井と山城の過去作から最新作までを掲載したモノグラフ(日英、一部は3月下旬頃にウェブサイトにて公開予定)が発行。展覧会へ寄せて、2人は次のコメントを出している。
「マイクロフィルムに記録されたアメリカ公文書を顕微鏡で観ている毎日を過ごしています。傷みの激しい1cmほどの単なる長方形なのですが、そこには占領軍が撮影した日本の戦争記録画の写真や接収したそれらをどうすればいいのか判断できないGHQの姿がぼんやりと見えてきます。TCAAから支援していただく予定だった東南アジアへのリサーチは新型コロナウイルスの流行のため断念しましたが、かつて日本人の画家たちによって描かれた戦場のアジアを旅しています(藤井光)」。
「小さな命を授かり見つめるだけで過ぎてゆく時間をコロナ禍で過ごし、TCAA受賞で支援されるはずの海外リサーチは行えなかった。しかし私にとって移動せず、同じ場所に居続けることがこれまで以上に重要で至極必要な時間であった。自分が変容し流動する状態をじっくり味わうことが出来たことは幸運だった。今年から移動が多くなり、世界を認知するフレームがこれまでと違ってきていることに気づいている。新たに構成され生成する世界を敏感に感受し、人間が変わっていくことを恐れずひとつひとつを未来に繋げて選択できるように思索したい(山城知佳子)」。
「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」は2018年、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペースによって創設された現代美術の賞。海外での展開も含め、さらなる飛躍とポテンシャルが期待できる国内の中堅アーティストを対象としている。
第2回受賞者の藤井光は、1976年東京都生まれ。紛争や事故などの厄災に起因する、あるいはそれにより顕在化した社会構造の不条理を主題に映像インスタレーションを制作する。藤井が設定した、史実に基づく出来事の再演や実際的な議論の場を通して、その主題が私たちの日常に潜む諸問題と地続きであることを示している。
もうひとりの受賞者、山城知佳子は1976年沖縄県生まれ。出身地・沖縄を舞台に映像や写真の制作を行う。地理的要因により独自の歴史や文化を持つ沖縄の、戦争の継承や戦後の政治的構造について、時には自身も被写体となり、肉体や声など、身体を通じて問題提起する。また、物語性を取り入れることで新たな視座で沖縄をとらえ、壮大さと普遍性を獲得している。
本展で藤井は、戦後の、絵画をめぐる議論を、アメリカ占領軍が残した公文書から考察した新作を発表。いっぽう制作過程において次作のビジョンが見えるという山城は、沖縄でのリサーチを軸にした新作と、それにつながる過去作品を展示する。
また展覧会の開幕にあわせ、藤井と山城の過去作から最新作までを掲載したモノグラフ(日英、一部は3月下旬頃にウェブサイトにて公開予定)が発行。展覧会へ寄せて、2人は次のコメントを出している。
「マイクロフィルムに記録されたアメリカ公文書を顕微鏡で観ている毎日を過ごしています。傷みの激しい1cmほどの単なる長方形なのですが、そこには占領軍が撮影した日本の戦争記録画の写真や接収したそれらをどうすればいいのか判断できないGHQの姿がぼんやりと見えてきます。TCAAから支援していただく予定だった東南アジアへのリサーチは新型コロナウイルスの流行のため断念しましたが、かつて日本人の画家たちによって描かれた戦場のアジアを旅しています(藤井光)」。
「小さな命を授かり見つめるだけで過ぎてゆく時間をコロナ禍で過ごし、TCAA受賞で支援されるはずの海外リサーチは行えなかった。しかし私にとって移動せず、同じ場所に居続けることがこれまで以上に重要で至極必要な時間であった。自分が変容し流動する状態をじっくり味わうことが出来たことは幸運だった。今年から移動が多くなり、世界を認知するフレームがこれまでと違ってきていることに気づいている。新たに構成され生成する世界を敏感に感受し、人間が変わっていくことを恐れずひとつひとつを未来に繋げて選択できるように思索したい(山城知佳子)」。