EXHIBITIONS

東日本大震災発生10年特別企画展

あの時、現在 そしてこれから

2022.02.05 - 03.21

2011年3月25日
宮城県気仙沼市仲町一丁目(JR南気仙沼駅前にて)
駅の横には全く別の場所から家が丸ごと一軒流されてきていた。壁には水位を示す跡があった。

2020年10月18日
宮城県気仙沼市仲町一丁目(JR南気仙沼駅前にて)
BRT専用道路の奥には、内の脇に建設された9階建ての災害公営住宅がそびえる。知らない町がそこにはあった。

 リアス・アーク美術館は、東日本大震災発生10年の節目に特別企画展「あの時、現在 そしてこれから」を開催。「災害と風景」をメインテーマに、震災発生直後から現在までの風景の変化に注目する。

 開館以来、リアス・アーク美術館は総合博物館的な活動を続けるなかで、地域の重要な歴史的、文化的出来事として過去の津波災害を調査研究対象としてきた。2006年には明治三陸地震津波の記録物である『風俗画報大海嘨(しょう)被害録』の内容を紹介する企画展を開催。将来的に想定される大津波襲来の可能性について、地域住民に普及してきた。そのような活動の最中、東日本大震災が発生した。

 同館の学芸係は、特命による東日本大震災記録調査活動を行い、その調査資料の一部をもって「東日本大震災の記録と津波の災害史」常設展示を新設、公開し現在に至る。以降も被災地の記録調査を継続し、加えて日本国内の大規模災害被災地の調査研究を重ね、さらに海外事例の一部も収集している。

 本展では、過去10年間に蓄積された研究成果を一部展示公開すると同時に、芸術文化を専門領域とする美術館学芸員の視点でとらえた東日本大震災発生からの10年間をレポートする。

 会場には、未公開の被災現場写真約350点を展示。東日本大震災発生直後の状況を、10年を経た現在の状況を風景写真と比較し、復旧復興事業の成果と残された課題の検証や「伝承すべきこと」の再確認、「震災記憶再生のための表現」を考察する。また、気仙沼の地域以外の震災後の状況や伝承施設などに加え、国内外の震災・大規模災害被災地情報も紹介する。

 被災地の美術館としてこの10年を独自の視点で振り返り、可視化するリアス・アーク美術館。本展を「11年目以降」の地域文化をイメージするための場と、これからの気仙沼について考える機会とする。