シダネルとマルタン展

　フランスの画家、アンリ・ル・シダネルとアンリ・マルタンを紹介する展覧会「シダネルとマルタン展 最後の印象派」が、山梨県立美術館に巡回する。

　フランスで19世紀末〜20世紀前半にかけて活動したアンリ・ル・シダネル（1862〜1939）とアンリ・マルタン（1860〜1943）。ふたりの画家は、豊かな色彩や点描といった印象派や新印象派の表現を継承しつつ、19世紀末に広がった象徴主義的な世界観や、家族や自邸の情景など身近なものを情感を込めて描くアンティミスト（親密派）の顔もあわせもっている。

　生涯にわたる親交を結び、絵画表現における共通点も多いふたり。シダネルは月夜や夕暮れ、食卓や庭といった静謐な風景を抑制された色調で詩情豊かに描いたのに対し、マルタンは明るい陽光に照らされた風景や人物を暗示的な表現で描き、フランス国内の公共建築の壁画を多く手がけた。

　本展はシダネルとマルタンを同時に紹介する国内初の展覧会。印象派の表現を受け継ぐ、穏やかでどこか神秘的な光と色彩に彩られた画家たちの作品世界を楽しみたい。