EXHIBITIONS

シュシ・スライマン「赤道の伝承」

シュシ・スライマン Biodegradable Mystical Reality 2021 © Shooshie Sulaiman

シュシ・スライマン Serumpun Bakul Tenggara / SEA Baskets 2021 © Shooshie Sulaiman

シュシ・スライマン Khatulistiwa, Darwin, Rubber & the Mudskippers 2021 © Shooshie Sulaiman

シュシ・スライマン Fugu & Cempaka(the Forbidden Husband & Wife) 2021 © Shooshie Sulaiman

シュシ・スライマン Wrapping paper for Ruang & Rupa 2021 © Shooshie Sulaiman

シュシ・スライマン Gunung Padang / Mount Padang 2021 © Shooshie Sulaiman

 東南アジアの重要な現代アーティストのひとり、シュシ・スライマンの個展「赤道の伝承」が小山登美夫ギャラリーで開催される。本展ではインスタレーションや立体、平面作品、文章など様々なアプローチで制作された新作を発表する。

 シュシは1973年マレーシア・ムアール生まれ。クアラルンプール在住。経理の仕事を経験したのち、突然の父の死など精神的に落ち込んだ「自分自身を救い、癒すために」アート制作を始め、96年にマラ技術大学にて美術学士号を取得。2014年からは、マレーシアのアーティストプラットフォーム「MAIX」に参加し、様々な領域のメンバーとのコミュニティを形成、精力的に活動している。

 マレー系と中国系の血を引くシュシは、東南アジアの歴史、祖国マレーシアの文化や自身の記憶、アイデンティティを作品の大きなテーマとしてきた。制作において時にその土地特有の樹木や土、水などの自然物を使用。ドローイング、コラージュ、インスタレーション、パフォーマンス等幅広いアプローチで作品制作する神秘的な世界観は、人間と自然、アートとの分ちがたい複雑な関係性を私たちに提示する。

 本展は「パブリックな創造活動」と「作家自身の創作」の大きく2つで構成。ギャラリーの最初のスペースでは「パブリックな創造活動」として、2019年からのシュシの新しいアイディアである「アートの保全」をテーマに、マレーシアの伝統技法による手びねりの水壺「Labu Sayong」100個を一堂に展示する。

 自然と対話し、作品に魂を宿すような瞑想的手法でつくられる「Labu Sayong」は、現在、女性陶芸家・Mak Nahのみが扱える技法であり、この貴重な伝統を守るためにシュシは、MAIXのメンバーとともにMak Nahへのサポートを行い、アイディアを提供する。また制作風景の映像も本展で放映され、「Labu Sayong」の売り上げは「Labu Sayong」美術館設立の資金に充てることも計画されている。

 ギャラリーの次のスペースでは「作家自身の創作」である、赤道にまつわる伝統的な素材と手法を用いた小さなアートワークが並び、インスタレーション作品「赤道の伝承」として展示される。

 赤道を思わせる線の周囲に、東南アジア各国の旧名が書かれ束ねられた11個の伝統的なバスケットや、古代より東南アジアでの重要な植物であるタピオカの成分でつくられ、タコが描かれた「Macan Organic plastic bag(虎のオーガニックなビニール袋)」、放棄された木材を使った山の立体作品や、ゴムの樹液を使ったペインティング作品、地図の上に土の点が無数に描かれた地図など、これらの作品はシュシが交流している伝統技術を持つ作家や友人、キュレーターとのコミュニケーションが根底ともなっており、シュシはこのインスタレーション作品を「古代と現代の赤道のレガシーが反映された、自身の『神話』」だと述べている。

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