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「若い女性だったわたしたちが行った表現は、『戦略』ではなく『戦術』的だった」。インタビュー:長島有里枝

2021年8月号の特集「女性たちの美術史」にあわせて、今回の特集でも登場している長島有里枝のインタビューを紹介。写真を通じて女性が家庭や社会において求められる役割への違和感を表現する作家に、話を聞いた。

聞き手=中村史子 構成=杉原環樹

Torn blankey(about home) 2015 Cプリント 35.6×27.9cm 「家庭について/about home」展より

 長島有里枝は、1973年東京生まれ。90年代半ばに家族と撮影したヌードポートレイトの作品で脚光を浴び、現在まで作品を通じて常に女性と家族、女性と社会の関係性を問い直してきた。

 本記事では、2016年に収録されたインタビューを公開。同年に東京と兵庫で開催された2つの個展の内容を中心に、人生の状況に応じて変化してきた表現のあり方を語っている。

 2021年10月に金沢21世紀美術館で開催予定の「ぎこちない会話への対応策―第三波フェミニズムの視点で」展でゲストキュレーターを務める長島。90年代当時「女の子写真」というカテゴリーの当事者として悔しさを感じた長島が、今日までフェミニズム的実践を続ける背景を知ることができるインタビューだ。

物事を「いい思い出」のように「良く」見せてしまう写真には抗いたい。

 家族のヌード写真によるデビューから、近年では、無名の表現者としての母や祖母との創造的交流を通し、女性の問題にメスを入れる長島。その歩みは、固定的な役割を与える社会への問いの歴史だ。今年(2016年)、東京と兵庫で個展を開いた彼女の、不自由さを生き抜くしなやかな戦い方とは。

美術出版社にて
撮影=大森克己

二人の母親を起点にした展覧会

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