EXHIBITIONS
梅津庸一展 ポリネーター
美術家・梅津庸一の個展「ポリネーター」が開催。作品に宿った自身の想像力や無意識で多くの人を巻き込み、巻き込まれながら、不揃いで不気味な秩序をワタリウム美術館につくり上げる。
梅津は1982年山形県生まれ。美術の共同体「パープルーム」を主宰し、現在は神奈川県相模原市に在住。細密画のようなドローイングや点描画のような絵画作品、自身を素材としたパフォーマンス映像、陶芸作品と自身の制作のほか、キュレーション、非営利ギャラリーの運営、また近年では『美術手帖』の特集「絵画の見かた」(2020年12月号)を監修するなど、多岐にわたって活動している。
2021年5月から滋賀県の信楽に滞在し、陶芸にも取り組んでいる梅津。自身を抑圧しながら制作する絵画作品とは異なり、陶作品では自身が本来持つ造形の語彙をストレートに表現している。また、ロバート・ラウシェンバーグが1982年に信楽に長期滞在し大塚オーミ陶業株式会社との協働で大型の陶板作品を制作していることに注目すると、ラウシェンバーグの「コンバイン・ペインティング」や信楽滞在での経験を起点に、32枚の陶板作品を大塚オーミ陶業で制作。梅津はやきものの街・信楽を、作家や職人、現代美術、愛好家、量産品や建材を手がける窯業の関係者、販売メーカー、材料工学の研究者に至るまで、生活と産業と芸術がリンクする結節点ととらえている。
本展は回顧展ではないとしながら、2004年の初期作から21年までの陶作品を梅津自身がキュレーション。タイトルの「ポリネーター」は、植物の花粉を運んで受粉させる媒介者という意味を持ち、梅津の立ち位置の例えとして選ばれた。
今回の会場となるワタリウム美術館も「花粉」との縁が深く、1990年開催の第一回展「ライトシード」では、ゲスト・キュレイターのハラルド・ゼーマンが目の覚めるような黄色のたんぽぽの花粉(ヴォルフガング・ライプの作品)を真新しいワタリウム美術館のフロアに敷き詰め、日本の現代美術に衝撃をもたらした。
梅津は「美術とはなにか。そして芸術の有用性や公共性とはなにか。それはわかりやすい希望やとっつきやすいビジョンの提示にあるのではなく、一見すると有用性や公共性など感じられないほど入り組んだ悪い夢のような世界にこそ存在する」と語っている。その作品は悪い夢のようでいて、ロマンチックなポエムのような空間を有している。本展で梅津はさらに次のステージへと移り、未知の空間を展開する。
梅津は1982年山形県生まれ。美術の共同体「パープルーム」を主宰し、現在は神奈川県相模原市に在住。細密画のようなドローイングや点描画のような絵画作品、自身を素材としたパフォーマンス映像、陶芸作品と自身の制作のほか、キュレーション、非営利ギャラリーの運営、また近年では『美術手帖』の特集「絵画の見かた」(2020年12月号)を監修するなど、多岐にわたって活動している。
2021年5月から滋賀県の信楽に滞在し、陶芸にも取り組んでいる梅津。自身を抑圧しながら制作する絵画作品とは異なり、陶作品では自身が本来持つ造形の語彙をストレートに表現している。また、ロバート・ラウシェンバーグが1982年に信楽に長期滞在し大塚オーミ陶業株式会社との協働で大型の陶板作品を制作していることに注目すると、ラウシェンバーグの「コンバイン・ペインティング」や信楽滞在での経験を起点に、32枚の陶板作品を大塚オーミ陶業で制作。梅津はやきものの街・信楽を、作家や職人、現代美術、愛好家、量産品や建材を手がける窯業の関係者、販売メーカー、材料工学の研究者に至るまで、生活と産業と芸術がリンクする結節点ととらえている。
本展は回顧展ではないとしながら、2004年の初期作から21年までの陶作品を梅津自身がキュレーション。タイトルの「ポリネーター」は、植物の花粉を運んで受粉させる媒介者という意味を持ち、梅津の立ち位置の例えとして選ばれた。
今回の会場となるワタリウム美術館も「花粉」との縁が深く、1990年開催の第一回展「ライトシード」では、ゲスト・キュレイターのハラルド・ゼーマンが目の覚めるような黄色のたんぽぽの花粉(ヴォルフガング・ライプの作品)を真新しいワタリウム美術館のフロアに敷き詰め、日本の現代美術に衝撃をもたらした。
梅津は「美術とはなにか。そして芸術の有用性や公共性とはなにか。それはわかりやすい希望やとっつきやすいビジョンの提示にあるのではなく、一見すると有用性や公共性など感じられないほど入り組んだ悪い夢のような世界にこそ存在する」と語っている。その作品は悪い夢のようでいて、ロマンチックなポエムのような空間を有している。本展で梅津はさらに次のステージへと移り、未知の空間を展開する。