EXHIBITIONS

村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平

2021.08.20 - 10.17

金氏徹平 tower 2008 撮影=新井卓
©︎ Teppei Kaneuji Courtesy of the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo

村田沙耶香 untitled 1995-1997 学生時代の作品

村田沙耶香 untitled 1995-1997 学生時代の作品

村田沙耶香 untitled 1998 学生時代の作品

デヴィッド・シュリグリー Untitled 2020 Photo by Todd-White Art Photograph ©︎ David Shrigley
Courtesy of the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo/ Stephen Friedman Gallery,London

デヴィッド・シュリグリー Untitled 2020 Photo by Todd-White Art Photograph ©︎ David Shrigley
Courtesy of the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo/ Stephen Friedman Gallery,London

デヴィッド・シュリグリー Untitled 2020 Photo by Todd-White Art Photograph ©︎ David Shrigley
Courtesy of the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo/ Stephen Friedman Gallery,London

デヴィッド・シュリグリー Untitled 2020 Photo by Todd-White Art Photograph ©︎ David Shrigley
Courtesy of the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo/ Stephen Friedman Gallery,London

金氏徹平 White Discharge(Built-up Objects)#48 2019 撮影=西村雄介
©︎ Teppei Kaneuji Courtesy of the artists and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

金氏徹平 Splash and Flakes(Skeleton/2017)#1 2017
©︎ Teppei Kaneuji Courtesy of Eslite Gallery

金氏徹平 Ghost Ship in a Storm 2009 Photo by eric
©︎ Teppei Kaneuji Courtesy of the artist and Yumiko Chiba Associates, Tokyo

 GYRE GALLERYで「村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」が開催される。本展企画は飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長)。

『コンビニ人間』『消滅世界』『生命式』など、衝撃的な物語を世に送り出してきた芥川賞受賞作家・村田沙耶香。『コンビニ人間』(2016)では、完璧なマニュアルによってコンビニエンスストアで働いている時だけ、「世界の正常な部品」になったと安心することができる主人公の日常を描写。また『消滅世界』(2015)では、人工授精子供を産むことが当たり前になった世界を物語の舞台とし、そして『生命式』(2019)では、主人公によって呟かれた「正常は発狂の一種」という言葉で読者の心を引きつけた。

 本展は、イギリスのアーティストのデヴィッド・シュリグリーと、『コンビニ人間』の書籍のカバーに作品提供したアーティストの金氏徹平の2人が、村田の独特な言語世界と共振する。

 シュリグリーは、日常の場面を軽妙に描写したドローイングをはじめ、アニメーション、立体、写真などを制作。多様な手法によって作品制作を行っており、国際的に高い評価を得ている。2013年には『ターナー賞』にノミネートされたほか、ロンドン・トラファルガー広場のパブリックアートプロジェクト「第4の台座」に「立てた親指」をかたどった約7メートルのブロンズ彫刻《リアリー・グッド》が選出され話題を集めた。

 いっぽう金氏は、フィギュアや雑貨、あるいは日用品など、日常的なイメージを持つオブジェクトをコラージュした立体作品やインスタレーション などで知られている。2011年以降は舞台美術も手がけており、「Towering Something」(ユーレンス現代美術センター、北京、2013)、「金氏徹平のメルカトル・メンブレ ン」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川、2016)などを開催した。

 2人の現代美術作家のダイアローグ(対話)からなる本展は、「ユートピア」と「ディストピア」とは何かを問いかけ、さらに村田の小説のなかで言及されている「正常」に潜む社会的暴力性や抑圧を浮かび上がらせる。