興梠優護「君」

　アーティスト・興梠優護（こうろぎ・ゆうご）の新作個展「君」が成山画廊で開催される。会期は6月26日～7月31日。

　興梠は1982年熊本県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、同大学大学院美術研究科絵画専攻版画研究領域を修了。人体のモチーフを軸に、光、色彩、視覚といった曖昧で移ろいゆくものに着目し、絵画性の広がりを探ることを試みている。近年は、海外にて中長期的に滞在制作し、根源性と現代性という観点からリサーチと制作・展示を行っている。

　今作では、これまで人体を主要なモチーフとしながらも、具体的に描かれてこなかった人物の表情が、光を思わせる色彩で描かれている。新しい写実表現を見せる新作群について、作家は次のように言葉を寄せている。

「『もし、この世界に私がいるということを証明することが、生きることなら、僕は「あなたは確かにこの世界にいましたよ』と誰かに伝えてあげたいと思った。

今僕にあなたの表情を描かせているのは、蓄積された誰かに会いたいという思いなのかもしれないし、この終わりの見えない状況の中でいっとき、くつろげる場所を見つけ出したいだけなのかもしれないけれど（興梠優護）」。