EXHIBITIONS

上村洋一+エレナ・トゥタッチコワ「Land and Beyond|大地の声をたどる」

エレナ・トゥタッチコワ 「知床:干潮を待つ」より 2020

上村洋一 internal weather(210226_16:11_UTORO) 2021

上村洋一 phantom power 2019 Photo by Ken Kato

上村洋一 internal weather(210217_12:23_UTORO) 2021

上村洋一 知床オホーツク海の流氷のフィールド・レコーディングの様子 2020 Photo by Takehito Koganezawa

エレナ・トゥタッチコワ 「知床:干潮を待つ」より  2020

エレナ・トゥタッチコワ 「ひつじの時刻、北風、晴れ」より 2018

エレナ・トゥタッチコワ 2018年に企画をしたシレトコ・ウォーキング・プロジェクト「獣道/Animal Paths」記録写真。開催場所は知床半島内の森

 上村洋一とエレナ・トゥタッチコワによる2人展「Land and Beyond|大地の声をたどる」が開催される。本展のキュレーションは四方幸子。

 上村洋一は1982年千葉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了。聴覚や視覚から風景を知覚する方法を探り、主にフィールド・レコーディングを素材としたサウンド・インスタレーション、絵画作品や映像作品、サウンド・パフォーマンス、音響作品などを制作し国内外で発表してきた。

 フィールド・レコーディングを「瞑想的な狩猟」としてとらえ、その行為を通して、人間と自然との曖昧な関係性を考察する上村のサウンド・インスタレーションは、没入的なサウンドスケープで構成され、人間の持つ生物的な感覚を通して体験するものが多い。音響作品(CD)に『re/ports』(Ftarri、2019)がある。

 エレナ・トゥタッチコワは1984年ロシア・モスクワ生まれ。2003年まで11年間、モスクワ国立音楽院付属中央専門音楽学校で音楽を学び、その後、ロシア国立人文大学の東洋文化・古典古代学部で日本文学を専攻。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程を修了した。

 人間の風景認識や物語創造、歩行と想像力の関係に関心を抱くトゥタッチコワは、歩行を世界の道づくりという表現方法としてとらえ、様々な土地で歩き、人とかかわりながら制作を続けている。土地に秘めた物語を探り、写真、映像、文章、ドローイングなどで表現するほか、定期的にウォーキングや地図づくりのイベントを行う。

 本展は、北海道・知床や北方圏のリサーチも展開する四方幸子をゲストキュレーターに迎え、三者の現地滞在を含む対話を介して生み出された。それぞれ知床という地に関わり制作を続けている2人のアーティストによる最新の歩みを発表すると同時に、相互に交差する世界観を知床という土地(Land)から出発しながら、土地と人との関係をより普遍的に喚起しうるもの(Beyond)として、見る側に投げかける。