EXHIBITIONS

藤岡亜弥写真展「花のゆくえ」

2001 © Aya Fujioka

2000 © Aya Fujioka

2004 © Aya Fujioka

2020 © Aya Fujioka

 広島出身の写真家・藤岡亜弥の個展「花のゆくえ」が開催されている。

 藤岡は1972年生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。2007年文化庁派遣海外留学生としてニューヨークに滞在し、12年まで同地在住。現在は広島にて制作活動を行う。写真集『川はゆく』(赤々舎)で第41回(2016年)伊奈信男賞、2018年に木村伊兵衛写真賞、林忠彦賞をダブル受賞。同名作品集では、戦後70年以上の時が経つ被爆地としての歴史と、いまを生きる人がゆるやかにつながる現在の広島をスナップショットでとらえた。

 藤岡は写真家として活動し始めた1990年代に、16人の女性写真家の作品集『シャッター&ラヴ』(インファス、1996)で取り上げられ、若い女性写真家たちを称した「女の子写真」についての意見を求められた時、上手く言葉にできなかったことが気にかかっていたという。
 
 藤岡はその経験をきっかけに、あの頃の自分の姿を明らかにするためには当時の写真を見返す必要があると考え、古いネガの整理を始めた。その写真から浮かび上がってきたものは、かつて「女の子」と呼ばれた自分と、そこから変化していった自身の姿だった。

 本展では、藤岡が写真を始めた1990〜2020年までの、無意識に撮り続けていた花の写真を拾い集め、クロニクル形式(年代順)で展示。女性の象徴とも言える花のイメージを時系列に並べることで、様々な困難にぶつかりながら、もがき生きていく人間の姿が立ち現れる。

 性差別やジェンダーについての議論が世界的に広がる近年、ひとりの女性作家の変遷(=花のゆくえ)を展覧し、いま一度立ち止まって考える機会を設ける。

 なお会期中には、飯沢耕太郎(写真評論家)、土田ヒロミ(写真家)を招いたギャラリートーク(ライブ配信あり)も実施予定。