EXHIBITIONS

花残り-大学日本画展@UNPEL Ⅳ

愛でる

金沢美術工芸大学 日本画専攻博士二人展 坂本英駿/中田日菜子

2021.04.11 - 04.25

坂本英駿 孔雀 2020

中田日菜子 お蚕さん 2020

 東京・日本橋にある「UNPEL GALLERY」は、運営母体である「あいおいニッセイ同和損保」のメセナ活動の一環として、2021年2月より全国の大学・美術大学で日本画を学ぶ学生たちの展覧会をスタートさせた。第4弾では、金沢美術工芸大学日本画専攻に在籍する、坂本英駿と中田日菜子の2人展「愛でる」を開催する。

 同じ研究室で学ぶ2人は共通して、写生と古典絵画の研究を土台に、自身が「愛でる」ものを描くことを通して、現代日本画の新たな表現を模索してきた。

 坂本は、孔雀を愛で、「尊像としての孔雀」をテーマに作品を制作。屏風や大きな画面に金泥や金箔、墨、岩絵具などを用いて、孔雀の美しさや生命力などを手がかりに、線描と色彩の関係を意識しながら、羽根や羽毛の豊かな輝きを緻密に描いている。

 いっぽう中田は、自身が飼育している生き物たちを愛で、互いのふれあいのなかで育まれる愛着や実感を大切にしてきた。作品は、絹本地に染料や墨、岩絵具などを用いて、質感や肌触りを感じさせる繊細な描写によって丹念に描き、額表装や掛軸装に仕立てている。

「愛でる」とは、動植物や人や物などの美しさや可愛らしさに感動し、その美しさを味わい、慈しみ、かわいがり、大切にすること。2人の制作姿勢は、「愛でる」という言葉で共通しながらも、その作品は各々のとらえ方があり、モチーフや作家の個性が影響しながら多様な表情を見せる。