EXHIBITIONS

藤倉麻子「Paradise for Free」

2021.03.19 - 04.06

藤倉麻子「Paradise for Free」より

藤倉麻子「Paradise for Free」より

藤倉麻子「Paradise for Free」より

藤倉麻子「Paradise for Free」より

藤倉麻子「Paradise for Free」より

 アーティスト・藤倉麻子の個展「Paradise for Free」がCALM & PUNK GALLERYで開催されている。

 藤倉は1992年生まれ。東京外国語大学南・西アジア課程ペルシア語専攻を卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了。3DCGにより生成したイメージやアニメーション、空間表現などを中心に制作を行う。主な個展に「群生地放送」(NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]、東京、2018)。「LUMINE meets ART AWARD 2019-2020」グランプリ受賞。「第22回文化庁メディア芸術祭」アート部門、審査委員会推薦作品に選出された。

 藤倉は幼少期の原風景をもとに、都市空間に存在する様々な工業製品や巨大な人工物を本来の記号から切り離し、対峙させることで、新たな景色のあり方を描き続けてきた。極彩色、つるつるとしたテクスチャ、ひと気のない乾燥地帯、なだらかな動き、聴き覚えのある環境音など、藤倉独自のふさわしい都市の機能を融合した景色。それはディストピアのようにも見えるいっぽう、ある特定の場所と視点から感じられる心地よい世界として映し出されてきた。

 本展では、水路に見立てた無数の竹が流れる空間で、初の立体作品や景色を映し出した平面作品などが展示され、藤倉の第二の原風景である「楽園」が3DCGアニメーション作品を超越して立ち現れる。

 藤倉の「楽園」への好奇心は、大学時代に専攻していたペルシア語を通して知ったペルシア式庭園の存在からはじまり、最近では日本庭園にまで広がっている。水の流れに見立てた竹や日の出など、藤倉が模した自然物を装飾する窓や段差は、見る人をゆらぐ空間のはざまへと引き込む。また、自然物を模したものは、もとあった場所から移築されたかのように個々の様々なバックグラウンドや時間を漂わせながら、ある種サイト・スペシフィックな存在として新たな魂を宿す。そのようなあらゆる存在や時間軸を持つものたちと藤倉は向き合い、まるで庭師のように新しい景色のありかへ、そして私たちを飛躍の世界へと誘う。

※本展は会期を4月6日まで延長。4月4日 17:00よりクロージングとして、作家などによるトークを開催。CALM & PUNK GALLERY Instagramにてライブ配信も行う。