EXHIBITIONS

大岩雄典「無闇|Blind」

2021.02.13 - 03.14

大岩雄典 無闇(イメージ) 2021

大岩雄典 バカンス 2020 撮影=高橋健治 画像提供=Tokyo Arts and Space

大岩雄典 別れ話 2020 撮影=屋上

 美術家・大岩雄典の個展「無闇|Blind」がTALION GALLERYで開催される。

 大岩は1993年埼玉県生まれ。現在、東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程に在籍し、インスタレーションとフィクションを制作・研究。物語論や言語哲学、ヴィデオ・ゲーム研究への関心から、時空間とその経験のもつかたちを、美的・哲学的・政治的な問題意識から考察し、作品やテクスト、レクチャーなどとして上演する。

 2019年の個展「スローアクター」(駒込倉庫、企画構成=砂山太一)では、1階と2階からなる展示会場を順に進むことで「時間の巻き戻る」インスタレーションを発表。その翌年の「バカンス」(トーキョーアーツアンドスペース本郷)では、コント漫才をモチーフに、豪華客船の一室を模した空間で「語りのうちに雑音が聞こえる」インスタレーションを展開した。

 本展では、耳元をかすめるように響く音声によって構成されるインスタレーションが、四角い展示室のなかで展示される。

 美術史家のマイケル・フリードは著書『没入と演劇性』において、絵画とそれを見る者の構造を焦点化するなかで、没入的な状況をあらわす類例のひとつとして「盲目(Blind)」という主題を取り上げた。本展で大岩は、「無闇(闇がない)=盲目」という事態を、四隅をモチーフとする怪談『スクエア』やサミュエル・ベケットの『クワッド』などを手がかりに、外部のない、誰もが盲目であらざるをえない展示空間として提示する。