EXHIBITIONS

Fever! Akiyama 秋山祐徳太子回顧展

2020.12.04 - 12.26

秋山祐徳太子 子供とダリコ 2000

秋山祐徳太子 ブリキ彫刻

秋山祐徳太子 都知事選ポスター1979年 Fever!Akiyama

東京地知事選挙 1975

東京都知事選挙 選挙運動者用腕章 1975

秋山祐徳太子 『感電キング』第3号1975年

秋山祐徳太子 富士山と招き猫 制作年不詳

秋山祐徳太子 新潮社クラブにて『秋山祐徳太子の母』執筆中 2015

「Fever! Akiyama 秋山祐徳太子回顧展」がギャラリー58で開催。「ポップ・ハプニング」と称したパフォーマンスなどで知られる美術家・秋山祐徳太子の作品と85年の生涯を振り返る。

 秋山は1935年東京・日暮里生まれ。1歳の時に父と兄を亡くし、母・千代との「最強の母子家庭」が始まる。60年、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)彫刻科を首席で卒業。卒業制作は《ブリキの大バッタ》。工業デザイナーとして電機メーカー2社に計10年近く勤務。グリコのランナー姿で走る《ダリコ》をはじめ、ポップ・ハプニングと呼ぶ数々のパフォーマンスを展開する。70年代からはブリキ彫刻作品を発表。75年と79年の2度、政治のポップ・アート化を目指して東京都知事選に立候補する。

 92年に赤瀬川原平、高梨豊ともに写真グループ「ライカ同盟」を結成。主な展覧会に、「秋山祐徳太子の世界展」(池田20世紀美術館、静岡、1994)、「秋山祐徳太子+しりあがり寿 ブリキの方舟」(広島市現代美術館、2011〜12)。著書に『泡沫桀人列伝』(二玄社)、『ブリキ男』(晶文社)、『恥の美学』(芸術新聞社)、『秋山祐徳太子の母』(新潮社)など。2020年4月、85歳で逝去。

 秋山は生前、「私の人生は、安価な素材で芸術の高みに挑戦していくことにつきる」と語った。その手で生み出された、男爵や皇帝、将軍、仏像などのブリキ彫刻の数々は、ブロンズでも大理石でもなく、ごく庶民的なブリキという卑金属を素材としながら品格をたたえ、愛嬌があり、哀愁さえも漂わせている。

 グリコのランナー姿で駆け抜ける《ダリコ》に代表されるポップ・ハプニング、政治をポップ・アート化した東京都知事選立候補、写真グループ「ライカ同盟」での写真家としての真摯な姿、軽やかに綴られたコラムやエッセイなど、諧謔を含んだ秋山の多彩な表現活動は、多くの人を魅了してきた。

 本展では、ブリキ彫刻、絵画、ドローイング、版画、愛用のはんだごてや絵筆、そしてパフォーマンスの記録、東京都知事選のポスターと関連資料を展示。さらに書簡や生原稿、新たに発見された写真を加え、200点を超える作品と資料を年代順に公開する。

 展覧会タイトルの「Fever!Akiyama」は、1979年の東京都知事選ポスターのキャッチコピー。一見破天荒に見えてじつは生真面目な恥ずかしがり屋、義理人情に厚く真っ直ぐな江戸っ子で、高貴な泡沫精神を胸に秘め、人生をポップに駆け抜けた秋山の「Fever―熱気に満ちたポップな世界」を楽しんでほしい。