EXHIBITIONS

オマー・ヴィクター・ディオプ「DIASPORA」

オマー・ヴィクター・ディオプ Diaspora © Omar Victor Diop Courtesy of MAGNIN-A Gallery

オマー・ヴィクター・ディオプ Diaspora © Omar Victor Diop Courtesy of MAGNIN-A Gallery

オマー・ヴィクター・ディオプ Diaspora © Omar Victor Diop Courtesy of MAGNIN-A Gallery

 セネガル出身のアーティスト、オマー・ヴィクター・ディオプの個展がアニエスベー ギャラリー ブティック(青山)と、アニエスベー(渋谷)の2会場で開催されている。会期は11月15日まで。

 ディオプは1980年セネガル・ダカール生まれ。活動当初より現代のアフリカ社会とライフスタイルの多様性を本質的にとらえる手段として、写真とデザインに特化した作品を制作。2011年にマリ・バマコで開催されたバマコ写真ビエンナーレの「パン・アフリカン展」で取り上げられ、自身初のコンセプチュアル・プロジェクトである「Fashion 2112, le Futur du Beau」で評価を受けて以降、写真表現に主軸を置く。現在はダカール在住。美術、ファッション写真、広告写真など幅広い分野で活動し、自らの写真を、衣装デザインやスタイリング、創造的な執筆といった芸術形態と融合させて表現している。

 アニエスベー ギャラリー ブティックで開催中の「DIASPORA展」では、同名シリーズを展示。「DIASPORA(ディアスポラ)」とは、もとの居住地を離れて生活する人物やコミュニティを意味する言葉で、スペインのマラガに4ヶ月滞在したディオプは、異邦人としての立場に直面しつつ、15〜19世紀に制作されたバロック絵画に注目し、この時期をそれ以前には生じていなかったアフリカとそのほかの世界が目覚しく交り始めた時代と考え、そこから多くのインスピレーションを得たという。

 ディオプは「DIASPORA(ディアスポラ)」において、ヨーロッパの著名なアフリカ人の肖像画に、現代の欧州リーグで活躍するアフリカ系のサッカー選手たちが故郷を離れて栄光と名声の生活を送るいっぽうで、「他者」として生きることへの苦難のパラドックスを重ね合わせた。さらに、当時ヨーロッパで生活していた自身をアイコンとして重ねてセルフポートレイトを撮影し、内包する「語り手」であり「登場人物」であることの相反する二重性を掘り下げ、あまり語られることのなかったアフリカ系の人々のアフリカ以外での物語を表現。異邦人(=移民)に対する非難と議論、その歴史についての考え方を再構成している。

 なおアニエスベー渋谷の「MASU MASU MASUGATA展」では、京都の出町桝形商店街に取材し、商店街で働く店主と商品などの写真をコラージュしたポートレイト作品を発表。今回のためにリプリントされた作品が展示されている。

※「DIASPORAシリーズ」は一部の作品を販売。