EXHIBITIONS

第72回 正倉院展

南倉 紫檀槽琵琶 宮内庁正倉院事務所

北倉 五色龍歯 宮内庁正倉院事務所

北倉 御甲残欠 宮内庁正倉院事務所

北倉 花氈 宮内庁正倉院事務所

中倉 粉地彩絵箱 宮内庁正倉院事務所

南倉 平螺鈿背円鏡 宮内庁正倉院事務所

中倉 続修正倉院古文書後集第十七巻 宮内庁正倉院事務所

中倉 馬鞍 宮内庁正倉院事務所

 奈良時代に建立され、聖武天皇(しょうむてんのう)の遺愛品を中心とした約9000件もの宝物を現在に伝える正倉院。奈良国立博物館では、そのなかから宝物を選び公開する展覧会「正倉院展」を開催してきた。

 第72回を迎える今年の正倉院展は、出陳宝物59件で、薬物(やくぶつ)と武器・武具をまとめて出陳するほか、楽器、伎楽面(ぎがくめん)、遊戯具(ゆうぎぐ)、調度品、佩飾品(はいしょくひん)、染織品、文書・経巻など、正倉院宝物の主要なジャンルの名品を紹介する。

 聖武天皇の七七忌(四十九日)である天平勝宝8年(756)6月21日に、その后・光明皇后(こうみょうこうごう)は東大寺大仏に60種類の薬物を献納した。目的のひとつは病人に薬を分け与えることにあり、また皇后は、今日の病院や福祉施設に通じる施薬院(せやくいん)や悲田院(ひでんいん)を創設するなど救済事業に尽力したことでも知られている。

 本展では、奈良時代における疫病との闘いを伝える品としても注目されている、皇后が献納した薬物から6種と、宝庫に伝わる薬物2種を公開する。

 また、犀(さい)や獅子を螺鈿(らでん)で表した平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)、曲芸をする人々などを緻密に描いた墨絵弾弓(すみえのだんきゅう)、近年の調査によって新たな発見があった花氈(かせん、花文様を全面に表した敷物)など、美術としての魅力を有する品も数多く展示。これらのほか、文書については戸籍や税に関する公的な文書、写経所における事務文書などが出陳され、奈良時代の社会や暮らしを垣間見ることができる。