EXHIBITIONS

浜田浄「記憶の地層 ー光と影ー」

浜田浄 Drawing Floor(1) 1983 紙に鉛筆 113×260cm

浜田浄 Drawing-84 1984 紙に鉛筆 245×112cm

浜田浄 2-2-17 2020 ペンキ、木材、合板 180x273cm

浜田浄 2-4-28 2020 ペンキ、木材、合板 92x60cm

 浜田浄の大規模個展「記憶の地層 -光と影-」が√K Contemporaryで開催されている。会期は10月24日まで(10月6日より後期展示)。

 浜田は1937年高知県生まれ。61年多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。大学卒業後、戦後の現代美術界に大きな影響を与えた美術家のひとり、斎藤義重との出会いなどを経て、独自の抽象表現を追求していく。77年の現代版画コンクール展における佳作賞受賞で一躍注目を集め、国内外を問わず多くの展覧会で精力的に作品を発表。2015年には、練馬区立美術館で初の個展「浜田浄の軌跡-重ねる、削る、絵画-」が開催されるなど、近年国内外でその評価が高まっている。

 本展では、作家の活動の軌跡をたどるように、80年代から現代までの大作と小作品約30点を一挙に展示。80年代の模索期に取り組んだ、鉛筆で一本一本線を引いて白い紙のうえに黒い鉛面をつくり出す「Drawing」シリーズに再挑戦する。

 また本展では浜田のこれまでの平面作品とは異なり、半立体の新シリーズを発表。合板に木片を重ね、見る角度によって光と影が変化する新作は、浜田作品に共通するある種の人間性を映し出し、不思議な温かみをたたえた作品となる。

 歩みを止めることなくつねに自身と向き合い、挑戦を続けてきた浜田。80歳を越えた今だからこそできる新しい表現、システム、そして価値観を創造する姿勢に注目してほしい。

「一所不住。過ぎた記憶を目の前にして今、感じること。今こそ、自在に力(動き)が加えられる位置に在ることを実証できればと思います(浜田浄)」