EXHIBITIONS

塩田正幸「Retinagazer」

塩田正幸 Retinagazer 2020 © Masayuki Shioda Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

 写真家・塩田正幸の個展が開催。タカ・イシイギャラリーでの初めての個展となる本展では、24年間にわたって制作された膨大な作品群より、初期作品から最新作まで約110点を展示する。

 塩田は1973年埼玉県生まれ、90年代後半より写真家として活動を開始し、主に音楽の分野で活躍。2000年に個展「NPEAKER」を開催し、02年に同タイトルで写真集を初出版。作家活動と並行して09年4月〜2010年3月まで、東京の新井薬師で行われたマンスリーグループショー「35MINUTESMEN」を主催した。

 主な作品集に『LIFE HUNTER』(2005)、『ANIMAL SPORTS PUZZLE』(2008)など。また自主制作の出版レーベル「FLASH BOOKS」より作品集を多数発表。19年創刊の雑誌『Moder-n』にて、写真家ヨーガン・テラーに密着したドキュメンタリー作品「YAKITORI TELLER」を発表。現在、東京を拠点に活動を行う。

 塩田は写真家としての活動初期から写真の本質について思考を重ね、独自のアプロ―チとアイデアで作品制作に取り組み、これまで一貫して写真表現を探求してきた。現在、24年間にわたって制作された膨大な作品群より、初期作品から最新作まで網羅した作品集『Retinagazer』を制作。その作業過程において、現在までの変遷をたどりながら自身の作品と対峙し、過去に撮影した写真から新鮮な発見と認識に出会った。

 本展では1冊の分厚いアルバムに4年間に撮影されたスナップ写真を収め、イメージの関係性を考察した作品「DOGOOHAIR」(2004)、さらに同シリーズの代表的なイメージを大型のモノクロコピーに引き延ばした作品などを中心に展示。

 加えて、2000年「NPEAKER」で発表した友人、音楽、猫などのスナップ写真や、3部作で構成される「ケの日ヒョウハク」シリーズより、写真それ自体を音としてとらえた抽象的な作品「NALI」など数々の実験的な作品、そして近年制作したポートレイト作品など、時系列に沿って多様な作品を紹介する(入場はアポイントメント制)。