磯村暖「OFF THE SIDELINE」

　アーティスト・磯村暖のニューヨーク滞在後初の個展がEUKARYOTEで開催。本展は、銀座 蔦屋書店GINZA ATRIUMで開催される個展「んがんたんぱ」との同時開催となる。

　磯村は1992年東京都生まれ。2016東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。17年にゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校第2期を卒業（最終講評で金賞受賞）。世界に跨る社会課題やマイノリティの文化とアートを横断する姿勢が多方面の共感を呼び、フォーブスジャパン「30 UNDER 30 JAPAN 2019」にひとりに選ばれるなど、目覚ましく活動の幅を広げている。19年にAsian Cultural Councilのニューヨーク・フェローシップのグランティに選出され、同年9月より現地に滞在して調査・交流を行った後、今年3月に帰国した。

　本展ではニューヨークでの滞在を経て、磯村の新たな境地となる彫刻・インスタレーションを展開。西洋美術の文脈とは異なるパラダイムであるアジアの美術史や宗教表現、フォークアートについて思考を深めた磯村が、アップデートされた仏教美術からアジアにアイデンティティを持つ独自の美術史への接続を試みる。

　新型ウイルスの感染拡大を発端とした社会状況を受け、ねじれが加速し複雑化していく社会課題に直面するいま、磯村はより普遍的な表現としてアジアの文化圏から「醜いもの」や権力者にとって「蔑まれるもの」を成立させることによってリアルな表現と社会運動を近づけ、不可測な世界での立脚点について私たちに喚起していくという。

　なお銀座 蔦屋書店のイベントスペース「GINZA ATRIUM」での個展「んがんたんぱ」は、8月25日〜9月6日まで。