EXHIBITIONS

水野里奈「みてもみきれない。」

水野里奈 入れ子状の建物 2020 撮影=宮島径 © MIZUNO Rina Courtesy Mizuma Art Gallery

水野里奈 渦 2020 撮影=宮島径 © MIZUNO Rina Courtesy Mizuma Art Gallery

水野里奈 岩波 2020 撮影=宮島径 © MIZUNO Rina Courtesy Mizuma Art Gallery

水野里奈 タイルの花 2019 © MIZUNO Rina Courtesy Mizuma Art Gallery

 水野里奈は、油画をベースに置きながらも、細密画や水墨画など多くの芸術的要素を積極的に取り入れ、作品へと昇華していくアーティスト。

 1989年愛知県生まれの水野は、名古屋芸術大学で洋画を学んだ後、多摩美術大学大学院研究科修士課程絵画専攻油画領域を修了。昨年は、ポーラ ミュージアム アネックス (東京)やギャラリー桜林(常陸国出雲大社内、茨城)で個展を開催し、5メートルを超える大作も発表した。

 トルコを訪れた際に、中東特有の細密画の装飾性に触れた体験が、現在の作風に繋がる大きな出来事となったという水野。レイヤーに置き換えて構成され、緻密な装飾性と大胆なストローク、極彩色と単色、西洋と東洋といった相反する要素が混在する画面は、意図して麻のキャンバスを部分的に残すことで奥行きと複雑さが増し、見る者に鮮烈な印象を与える。

 いっぽうで、ドローイング作品に見られる即興で勢いのある滑らかな線は、植物を主体として様々なモチーフと絡み合い、意のままに変化しながら柔軟に多様なものと関係性を結ぶ。

 本展では、水野が制作し続けてきた油彩とドローイング、それぞれの新作群を発表し、新作の一部には背景として巨大な壁画も描かれる予定。「いままで描いてきたものがなかったことになってもいいほどの特別な1枚を描きたい」と語り、1枚1枚に精魂を注いで描き続ける水野の挑戦に注目したい。

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、しばらくの間アポイント制で12:00〜17:00までの営業。なお、3月4日のみ11:00〜19:00まで通常通り開廊。