EXHIBITIONS

グループ展「余白/ Marginalia」

2020.02.22 - 03.21

本展メインビジュアル

村山悟郎 撹乱する機械と再生のドローイング 2020

中村葵 Reloaded-Body

 KENJI KUBOTA ART OFFICEが取り組んできたプロジェクト「10年後のための芸術表現」の集大成として、アーティストの布施琳太郎をキュレーターに迎えたグループ展「余白/Marginalia」が開催される。

「10年後のための芸術表現」は2017年に始動した、近未来の芸術のあり方を探る3年間のプロジェクト。初年度では、Chim↑Pom、西野達といった最前線で活躍するアーティストや批評家、研究者、キュレーターなどを迎え、21世紀に入ってからの芸術表現の変遷や、今後10年における芸術表現の可能性について議論・検証した。続く2年目では、海外のキュレーターを招聘した連続講座やシンポジウムを設け、オックスフォード大学内のギャラリースペースで展覧会「The Sleepless Alliance – Art for the Next Decade」を開催した。

 その締めくくりとなる本展のキュレーターに招かれた布施は、テクノロジーの発達によって人間の意識や行動が変化する状況や、人間の持つ普遍的な表現欲求、あるいは承認欲求をこれまでの人類の営みを参照しながら探求するアーティスト。16年の企画展「iphone mural(iPhoneの洞窟壁画)」では、スマートフォン以降に出現した新たな「自然環境」を、かつての洞窟壁画に描かれた古代の人々の自然への向き合い方と対照させようというユニークなコンセプトでも話題となった。

 本展タイトルにある「Marginalia」は、「テクストの余白に書き込まれた注釈や挿絵、落書き、装飾など」を広く意味する単語。また「本に線を引いて、要約や思いつきなどを書き込むこと」の意味も持つ。

 本展は「Marginalia」のように、過去と対話する時間が現代の情報社会のどこにあるのかという問いを出発点に、個別のコンテキスト(=物語)を把持する複数の作品が集められると同時に、布施の手によるフィクション(=物語)が寄せられ、「世界の余白」について思考する場となる。

 参加作家は、ミュージシャンとして活動するいっぽう、視覚言語の伝染とコードに注目した音響作品やインスタレーションを制作する小松千倫、近現代彫刻の保存・修復を学んだ経験に基づき、人間存在の営為をテーマとした彫刻や映像などを展開する髙橋銑、18年に武蔵野美術大学造形研究科美術専攻油絵コースを修了し、映像作品も発表する中村葵、自己組織的なプロセスやパターンを、絵画やドローイングを通して表現する村山悟郎の4名。