EXHIBITIONS

横内賢太郎「CONTACT」

横内賢太郎 制作中の新作の一部

 愛知県美術館では小企画として、インドネシア在住の画家・横内賢太郎の作品による「CONTACT」展が開催される。

 横内は1979年千葉県生まれ。2002年武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業、07年京都市立芸術大学大学院博士課程油画領域修了。欧米からは長らくエキゾチックな眼差しの対象であった日本で、欧米由来の絵画技法が使われ続けることに興味を持ち、広い視座を求めて、14年にポーラ美術振興財団在外研修員としてインドネシアに滞在。以来、現在までジョグジャカルタを拠点に活動している。

 2000年代半ばから横内は、美術品や工芸品のイメージをサテン生地に描いた絵画を発表。自身がそれまで扱ってきた絵画の染色技法とも重なる部分のある、ろうけつ染めのバティック(更紗)や、アジア諸国に通底する表現に関心を持ち続けてきた。

 バティックとは、イスラム教が大多数となる現在のインドネシアを代表する伝統工芸品のこと。ヒンドゥー文化に起源を持ち、オランダの植民地時代に産業として発展するなど、複数の文化の衝突と交差の中で育まれた。横内は近年、こうしたバティックをモチーフに、「文化的接ぎ木」というテーマのもとで制作を行っている。

 本展では、インドネシアでつくられた横内の新作絵画に加え、現地のアーティストと共同制作した映像作品も展示。企画タイトル「CONTACT」が示す、異なる背景を持つ技術や文化同士の豊かな出会いを見ることができる。