EXHIBITIONS

白髪一雄

白髪一雄 貫流 1973 東京オペラシティ アートギャラリー蔵 撮影=早川宏一

白髪一雄 無題 1959 豊田市美術館蔵

白髪一雄 群青 1985 尼崎市教育委員会蔵(尼崎市立尼崎高等学校)

アトリエでの制作風景 1960年代 画像提供=公益財団法人 尼崎市文化振興財団

白髪一雄 難航 1949 尼崎市蔵

白髪一雄 作品(赤い材木) 1957 東京都現代美術館蔵

 具体美術協会の中心メンバーとして活躍し、「フット・ペインティング」で知られる白髪一雄の大規模個展が開催される。

 白髪は1924年、兵庫県尼崎市生まれ。京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)日本画科を卒業後、油絵に転向。55年に戦後日本の前衛芸術を牽引した「具体美術協会」に参加し、同じ頃、天井から吊したロープにつかまりながら床に広げたキャンバスに足で直接描く「フット・ペインティング」という新しい表現を切り拓いた。

 従来は制作の手段でしかなかった身体運動(アクション/パフォーマンス)を主役とした先駆的な方法は、芸術また社会的な常識を超えただけでなく、人間がものをつくるという行為の原初に立ち返ることを可能にし、新たな絵画世界を開示する画期的なアイデアであった。

 白髪は具体美術協会の解散後も先鋭な制作を継続。熱量を孕みながら、絵具の滴りや滲み、粘性や流動性、堅牢さといった油彩画ならではの魅力を豊かに備えた作品を生み出した。

 東京の美術館では初の大規模個展となる本展では、油彩作品約60点に、資料・初期ドローイングなどをあわせて展示。当時の芸術・社会状況を振り返りつつ、白髪の制作論を今日的な視点から検証する。

※新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、3月13日に開催を中止。