EXHIBITIONS

ZENGA 白隠と仙厓展

2019.10.01 - 12.01

白隠慧鶴 蓮池観音 18世紀 個人蔵

 江戸時代に活躍した臨済宗の禅僧・白隠仙厓。2人は、迷いの苦しみから民衆を救い悟りの世界に渡し導く「衆生済度(しゅじょうさいど)」の精神で、禅の普及に努め、ときに厳しい禅の教えや体験をわかりやすく伝えようと数多くの書画を残している。
 
 白隠は釈迦や達磨などの仏教尊像をはじめ、布袋などの民間信仰に基づく様々な書画を手がけた。白隠の書画でとりわけ特徴的なのは、「画(絵画)」に、古典や禅録のみならず当時流行した謡曲や狂言歌謡まであらゆる「賛(言葉)」が加えられていること。「画(絵画)」と「賛(言葉)」、2つの要素で構成することで「かたちを超えた」禅の真理を表現することに成功した。

 仙厓も白隠と同じく仏教や民間信仰の神々、庶民の暮らしを描いた風俗画に至るまで、聖俗の多様なモチーフを使用。「世のなかの絵画には法があるが、仙厓の絵には法はない」(厓画無法)と宣言したように、親しみやすく禅的真理を視覚化した。

 一見して自由で豪放でありながら、禅の真理、痛烈な社会諷刺や謎かけが散りばめられた2人の書画。本展では、現代人にとって単純に「ゆるくてかわいい」と思えるそれぞれの書画から本来のメッセージを読み解き、禅画の魅力を紹介する。