EXHIBITIONS

向山喜章

Veda / Vendarta

2017.07.08 - 09.02

向山喜章 Vendarta 11 2017 © Kisho Mukaiyama

向山喜章 Vendarta 11 2017 © Kisho Mukaiyama

 東京を拠点にワックスなどを用いてキャンバス作品を制作する向山喜章。

 大阪に生まれ、幼少期を日本有数の密教の伽藍が立ち並ぶ和歌山県、高野山で過ごした。周囲の静謐な環境やそこに存在する仏教美術から影響を受け、活動初期より一貫して光をモチーフに作品を制作。昨年の展覧会では新たな試みとして自然光の淡さを捉え、周囲の空気感とともに変化するシリーズ、《Lunar》をつくり上げた。

 本展では、新作キャンバス作品14点に加え、近作のワックスを素材にした作品4点を展示。

 新作シリーズ《Vendarta》 は、光の背景・奥行である闇を基底に湛えながら光を描き、より重層的な試みとなっている。《Vendarta》と向き合うように展示される《Veda》 は、月や星の光のように闇に宿る光の姿を留めており、2つの作品が織り成す光の様相は、現代に溢れる人工的な光とは異なる重要な示唆を含んだものとして私たちの前に立ち現れる。

 「わたしの作品は、身体内につつまれた魂に宿る祈りを表しています。その魂の抽象的な光りは変幻自在にその輝きをくり返しながら、生命とともに息づいている不過視のマテリアルである。本展にあたり、ワックスを使用した近作のVedaシリーズと、アクリルメディウムとキャンバスを使用した新作のVendartaシリーズを同空間に展示した。両シリーズはいずれも内包された「深遠な光りのイメージ」である。光と闇は密接不可分であり、共に在ってその光彩、陰影を増すのである。Vendartaは、光と闇のメディウムが幾重にも塗り重なりあって現れた生命の反射板―カオスのマテリアルなのである。天体、そして密教の宇宙観へも通ずる深遠なる暗闇は、魂に祈りを灯すように自然とそこに在るのである。」(向山喜章)