EXHIBITIONS

平川祐樹「Rêve d’artiste La Magie à travers les âges」

2019.06.05 - 08.10

平川祐樹 Rêve d’artiste La Magie à travers les âges 2019

平川祐樹 Rêve d’artiste La Magie à travers les âges 2019

 場所や事物に宿る「時間」や「記憶」をテーマに、映像を主軸とした作品を制作してきたアーティストの平川祐樹。近年取り組む、失われた映画を扱った「Lost Films」シリーズ(2017-)は国内外で高く評価され、19年にはロッテルダム国際映画祭 (オランダ)、オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ)、ショートウェーブス映像祭(ポーランド)など数々の映画祭にて招待上映された。

 本展では、「Lost Films」シリーズの第5作となる映像作品《Rêve d'artiste La Magie à travers les âges(芸術家の夢 時代を越えた魔術)》を発表。壁に投影された黒い背景に、古いフランス映画のタイトルと製作年が延々と現れては消え、会場にはタイトルを朗読する女性の声が響く。

 本作を構成する映画タイトルの8割は「トリック撮影」の創始者、ジョルジュ・メリエス監督の作品からなる。メリエスは「出現」や「消失」を多用し、夢や幻想、魔術などを扱ったファンタジー作品で一時は大きな成功を収めたが、妻の死、経済的な破綻、そして第一次世界大戦の開戦などによって映画製作を継続できなくなり、表舞台から姿を消した。戦時中、メリエスの映画フィルムの多くは陸軍の手に渡ってセルロイドと銀に再利用され、残っていたネガフィルムは自暴自棄に陥ったメリエス自らが火を放った。

 《Rêve d'artiste La Magie à travers les âges》では、消失したメリエスの映画は時代を越えて再び出現し、一見羅列のように見えるそれぞれのタイトルが詩的な意味やリズムを生み出す。