EXHIBITIONS

狩野哲郎「測地とカモフラージュ、すべての部分が固有の形になる / Surveying, Camouflage, and Every Part Unique 」

狩野哲郎 Dazzled Signs / 純粋な標識(カモフラージュ) 2019 © Tetsuro Kano Courtesy of Yuka Tsuruno Gallery

 狩野哲郎は1980年宮城県生まれ。2005年東京造形大学造形学部デザイン学科卒業、07年同大学院造形研究科美術研究領域修士課程修了。一貫して、生物学者ヤーコプ・フォン・ユクスキュルの環世界の概念をもとに、生物が各々に持つ知覚によって見出す世界の多様性に関心を寄せてきた。

 作品制作においては「木」や「鳥」「植物」をモチーフに日用品や道具を使用。人間によって意味づけされてきた記号や価値、空間的な役割を解体するサイトスペシフィックなインスタレーションや、繊細に均衡を保つ彫刻、定型的なパターンやシールを使いながらも独自の形態を生み出していくドローイングなどを展開してきた。17年以降は、建築学者で建築家のクリストファー・アレグザンダーの提唱した「自然都市」を参照し、環境としての「木」や、断片が全体として形成されていく構造自体を重視している。

 本展では、東京や鳥取のほか、アメリカ、シンガポール、フィンランド、ノルウェーなど世界各地での滞在制作や旅先の中で採集した様々な素材とその経験を取り入れながら、これまでの狩野の取り組みを更新していくかのような新作インスタレーションを発表。宮城県美術館のグループ展「アートみやぎ2019」の出品作も展示される。