EXHIBITIONS

髙山辰雄 展

2019.01.19 - 02.23

髙山辰雄 抱かれる

 東京画廊は戦後日本の近代美術を見直す試みとして、2017年に「鳥海青児展」、18年に「香月泰男展」と、洋画のアーティストを紹介してきた。これらに続いて本展では、日本画家・髙山辰雄の作品を展示する。

 髙山1912年大分県生まれ。31年に東京美術学校日本画科(現・東京藝術大学)に入学し、松岡映丘に師事。戦前は西洋画の影響されながら、やまと絵の流れを汲む土佐派を思わせる穏やかな色調の画を描いた。戦後、日本画と日本の現状との齟齬で制作の姿勢に迷いを抱くなか、山本丘人のすすめでポール・ゴーギャンの伝記を読み、作風や生き方に感銘を受けた。

 その後は、伝統から離脱するかのような、色面の構成とデフォルメされた抽象的な作品を制作。62年に東京国立博物館にて、繊細かつ自由な筆づかいで水墨画を描いた中国南宋時代の画家・梁楷の《出山釈迦図》を鑑賞したことを機に、戦後取り組んできた造形表現の集大成ともいえる作品《出山》を手がけた。70年以降は墨絵調のモノトーンの画面へ向かい、晩年の作品は墨の滲みを意識しながら、東洋画の特徴である線画を独自の解釈で完成させた。

 本展では、髙山の戦後から晩年の作品を一堂に並べ、世界の表現が標準化する中で、日本列島に伝承されるべき表現とは何かを考える。