長谷川利行展

　荒々しくも美しい輝きに満ちた作品を残した画家・長谷川利行の18年ぶりとなる大回顧展が開催されている。

　長谷川は1891年生まれ。20代まで文学に傾倒し、独学で絵を学ぶと、30歳頃に上京して本格的に画家として活動した。36歳で二科展樗牛（ちょぎゅう）賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。

　長谷川が画壇で活躍したのは、49歳で命果てるまでのわずか15年ばかり。関東大震災後の復興期から太平洋戦争直前までの期間に重なり、浅草や山谷、新宿の簡易宿泊所を転々と放浪し、街そのものをアトリエとした。「生きることは絵を描くことに価するか」と語った長谷川。生活が行き詰まるほど、その作品は鮮やかな色彩を放ち、奔放な筆触でバーやカフェの賑わい、そこで働く女給や人々を生き生きと描いた。

　本展では、近年再発見された《カフェ・パウリスタ》《水泳場》、約40年ぶりの公開となる《夏の遊園地》、そして新発見の大作《白い背景の人物》など、話題作を含む約140点を展示し、長谷川の画業の全貌を紹介する。