EXHIBITIONS

白寿 江口草玄のすべて

2018.05.26 - 07.01

江口草玄 野ばら 1950 新潟県立近代美術館蔵

江口草玄 のに 1984 個人蔵

 2018年で白寿(かぞえで100歳)を迎える新潟県・柏崎出身の書家、江口草玄(えぐち・そうげん)氏。戦前から書作を開始し、戦後は縦社会の封建制が色濃く残る規制の書壇と訣別して、同志5人で立ち上げた「墨人会」を活動の場として書の革新に身を投じた。

 しかし、同会の組織化を契機に、「個」に徹するため脱退。以降、一貫して「個」として個展やグループ展などで“ことば”を重視した作品を発表し続ける一方、『ひびき』誌の発行を通じて、子どもたちに単なる「習字」ではない、伸び伸びとした書教育を実践してきた。また、書への深い造詣から、亀田鵬斎や鈴木鳴鐸、良寛など、近古の書人の研究も行う。

 本展では、書作品をはじめ、1950年にベルギーの画家・アレシンスキーの撮影した映画『Calligraphie Japonaise(日本の書)』の上映、『ひびき』誌での見本や臨書、自身の様々な書への思いや、研究などを記した『山階通信』、そして出身地・柏崎への思いを込めた「柏崎ふるさとまつり」の行灯に至るまで、1世紀にわたる江口の仕事を概観する。