EXHIBITIONS

陶と模様のものがたり 菊池コレクション

富本憲吉 色絵金銀彩飾箱 1960 撮影=尾見重治、大塚敏幸

河井寬次郎 灰釉筒描魚文喰籠  1950 撮影=小林庸浩

宮川香山(2代あるいは3代) 青華彩色椿ニ文鳥之画花瓶 大正末〜昭和初期 撮影=尾見重治、大塚敏幸

 工芸において作品の世界を深める重要な要素となる「模様」。陶磁器では、模様は表面を飾るだけではなく、かたちに沿って立体的に展開し、土や釉薬などの素材、焼成が引き出す質感や色彩と相互に影響し合うことで、作品に複雑な表情をもたらす。また現代において、つくり手たちは花鳥や古典柄などの伝統を下敷きとしながら、多様な装飾技法を駆使し、より自由に模様表現に取り組んでいる。

 本展では、やきものにおける「模様」をキーワードに、多彩な陶芸作品を展示。富本憲吉の色絵磁器《色絵金銀彩飾箱》、柔らかな泥を筒に詰めて押し出す「筒描(つつがき)」によって立体的な魚模様が踊る河井寬次郎の《灰釉筒描魚文喰籠》、細密な描写を凝らした宮川香山の《青華彩色椿ニ文鳥之画花瓶》など、模様をめぐる様々な視点を交えて陶芸の魅力を紹介する。