EXHIBITIONS

工藤哲巳×カロル・ラマ展

展示風景「工藤哲巳×カロル・ラマ」展示風景 ファーガス・マカフリー東京 2018.6.22  写真=丸尾隆一 © Tetsumi Kudo and Carol Rama

展示風景「工藤哲巳×カロル・ラマ」展示風景 ファーガス・マカフリー東京 2018.6.22  写真=丸尾隆一 © Tetsumi Kudo and Carol Rama

 斬新かつ挑戦的で、生物の形態のような立体作品を手がけた工藤哲巳と、性・心理的なアサンブラージュ、絵画、ドローイングを独学で描いたカロル・ラマの立体および平面作品が、2018年3月に東京進出したニューヨークのギャラリー「ファーガス・マカフリー」で展示される。

 第二次世界大戦直後の急進的な東京のアートシーンで、同時代の作家の中でも先んじて既存の概念や伝統から脱することを試みた工藤。1962年にはパリへ移り、批評家のジャン=ジャック・ルベルや作家のアラン・カプローらのハプニング運動に関わった。その後、40年にわたり、日常品やファウンド・オブジェクトを用いて、人工的で生物学的な形態を混合させた、不快感を呼び起こすような彫刻作品群を制作。グロテスクで異世界を想起させるこれら作品は、環境汚染やユートピア/ディストピア、ポスト・ヒューマニズムなどの問題を取り上げた今日の環境芸術の先がけとも言われる。

 他方、ラマは水彩、義眼、使用済みの自転車タイヤ、剥製や熊の爪や牙などの素材を用いて、身体やセクシュアリティ、欲望などの領域を70年にわたる実践の中で探求した。サイコ・セクシュアル(性的行為の心的表示)な絵画やドローイング、またアサンブラージュ的な抽象画は、近年ようやく世界の美術界から注目されるようになり、2003年のヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞。パリ市立近代美術館とニューヨーク、ニュー・ミュージアムの回顧展で展示された。

  本展では、対人関係、社会的または環境学的なトラウマを予見する1962〜2000年の作品群20点を並べ、両作家が共有する感受性と、素材とマテリアルに対する破壊的ともいえる姿勢をあらわにする。