EXHIBITIONS

新藤杏子「The Overlapping Hours」

2026.10.03 - 10.31
 大阪市のTEZUKAYAMA GALLERYで、新藤杏子の個展「The Overlapping Hours」が開催されている。会期は10月31日まで。

 新藤は1982年東京都生まれ。2007年に多摩美術大学大学院美術研究領域を修了。東京を拠点に、絵画表現を軸とした制作・発表を続けてきた。ステイニングの技法を応用した色彩の重なりと、伸びやかな筆致を特徴とし、色彩と線を複雑に重ねることで、幻想的な奥行きと独自の絵画空間を構築している。

 新藤の絵画は、人間や動植物を含む自然界の営みと、日常のなかに潜む小さな喜びや違和感を手掛かりに制作されている。神話や民話など、過去から現在へと語り継がれてきた物語を参照しながら、自身の記憶や日々の体験と重ねあわせ、新たな物語として描き出す。

 本展では、もっとも身近な自然のひとつである「庭」に目を向ける。父親の死をきっかけに引き継ぐことになった実家の庭は、新藤が幼少期から過ごしてきた場所であり、長い年月のなかで積み重ねられた記憶が刻まれている。春から手入れを始めた庭では、わずかな時間のうちに植物が茂り、ローズマリーや鉢植えから伸びる草、隣家へと伸びる竹、百日紅など、様々な生命が共存する場所へと姿を変えていった。

 今回の展示では、人間によってつくられた庭と、そこから境界を越えて広がる自然の営み、幼少期から現在へと続く個人的な記憶、過去から現在へと受け継がれる物語や生と死の循環など、異なる時間や生命の在り方が重なりあう様相に目を向ける。「庭」を通して、それぞれの時間が重なり合い、変化しながら循環していく世界の姿を描き出す。