徹底解剖！浮世絵で見る江戸のライフスタイル―国貞・英泉・芳年の描いた「粋な」女たち

　芦屋市立美術博物館で「徹底解剖！浮世絵で見る江戸のライフスタイル―国貞・英泉・芳年の描いた『粋な』女たち」が開催されている。

　本展は、同館寄託の片岡コレクションを中心に、浮世絵を通して江戸時代の生活や風俗、文化を紹介する展覧会である。

　江戸時代初期に成立した浮世絵は、木版技術の発達により安価な版画が大量に制作されるようになり、17世紀後半以降、主に町人に親しまれ、江戸や上方で都会美術として発展した。歌舞音曲、遊里、下町情緒などを題材に、当時の人々の暮らしが描かれている。

　本展で紹介されている片岡コレクションは、大正時代に商社員であった片岡長四郎が収集した浮世絵のコレクションである。歌川国貞（三代歌川豊国）、渓斎英泉、長谷川貞信など、19世紀に活躍した絵師の作品が多く含まれ、江戸後期から幕末にかけての女性たちの姿が、その風俗とともに表現されている。

　今回の展示では、国貞による勝ち気で粋な女性像に注目し、衣服や髪型、障子やふすま、御簾、うちわ、硯箱、三味線や琴といった背景や調度品、楽器の描写を紹介する。また英泉の美人画では、化粧筆や鏡台、おしろい、煙管、櫃など、当時の女性が使用した品々が描かれている点を取り上げる。さらに上方絵師である貞信の作品を通して、「浪花名物」として天満大根や大丸呉服店を題材にした、大坂の町や商品を描いた表現を紹介する。

　本展は、これらの浮世絵作品を通して、江戸時代の生活や風俗、文化の一端を具体的に示す内容となっている。