彭瑞麟 写真展「我（わたし）は誰か／ｲ厓係麼人／我是啥人／我是誰」

　東京工芸大学 写大ギャラリーで、彭瑞麟による写真展「我（わたし）は誰か／ｲ厓係麼人／我是啥人／我是誰」が開催される。

　彭瑞麟（ポン・ルイリン、1904〜84）は日本統治時代の台湾・新竹県生まれ。28年に東京寫眞專門学校（現東京工芸大学）に入学した台湾の第一世代にあたる写真家だ。卒業後は台北で写真館「アポロ寫眞館」を開き、日本のピクトリアリズムの影響を受けた作品を制作した。戦後に写真から離れ、58歳で漢方医となったのち、近年台湾で再評価が進んでいる。

　本展は、写大ギャラリー設立50周年を記念して開催される彭瑞麟の写真展であり、タイトルは日本語、客家語、台湾語、國語（北京語）の順に同一の意味を表す言葉を用いて構成されている。展示室では、すべての作品を台湾から借用し、日本初個展として展示。展示作品は、モノクロおよびカラー作品を含む約70点で構成され、卒業生として初期に撮影された1929年の作品も紹介する。

　彭瑞麟は在学中、当時学長であった結城林蔵や小野隆太郎らから写真技術と表現を学び、学友を撮影した肖像写真にはゴム印画法による作例が多く見られる。なかでも「三色カーボン印画法」によるカラー作品が注目され、この技法による作品は現在日本ではほとんど確認されていないとされる。また、彭瑞麟の経歴のなかで、台北における写真館の設立、戦時中の徴用、戦後の逮捕・釈放などの出来事が記録されており、写真制作から離れた期間を経ながらも、晩年までセルフポートレイトを撮影していた。