川内理香子　The shape of water hardens into stone.

　黒部市美術館で「川内理香子　The shape of water hardens into stone.」が開催されている。

　川内理香子は、眠くなる、お腹が空く、あるいは消化、排せつなどの意識ではコントロールの難しい生理的現象や、食事を通した外界と身体との交わりなど、思考と身体、内と外というような「私」に関わる様々な境界に関心を寄せている。それらの問いは、人類学者クロード・レヴィ＝ストロースの著書『神話論理』に共鳴したことで、より多様で豊かな世界とつながっていったという。川内自身の内側に沸き起こるイメージや感覚が掬いとられた線は、人物、動物、食物、壺、内臓、月や星などを形づくり、時に様々な神話の出来事とも結ばれながら、画面や空間のなかで映し合って存在している。

　本展では、川内の関心事や制作過程における身体的なやり取りが、美術館周辺の様々な風景の循環と結びつきながら、曖昧に混ざり合う多層的な世界を表出。様々なものの境界が取り払われ、自身の身体と出会い直す機会となる。

　今回は、ドローイング、ペインティング、石彫、ネオンの合計70点程度の作品を展示している。