植松永次「芽の出るところ」

　ギャラリー38で「植松永次『芽の出るところ』」が開催される。

　植松永次は、1949年兵庫県神戸市生まれ。70年代より制作を始め、土や自然との対話を創造の原点として一貫した活動を続けてきた。生命感あふれる泥漿の動きや、土と火の痕跡が際立つひび割れや歪みなど、素材の特性を生かした造形で知られる。既存の方法論や自意識にとらわれず、即興性や偶然性を孕んだ作品は独自の存在感を示す。

　本展では、土や自然から得た感覚を重視する植松の表現を紹介する。作品に見られるひび割れや歪みは、自然素材と誠実に向き合う姿勢から生まれたものであり、あらゆるものがデータ化される現代において、かけがえのない景色や悠久の時間、日常に潜む大切な空間を想起させる。