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ACT(Artists Contemporary TOKAS)Vol. 7「複数形の身体」

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 トーキョーアーツアンドスペース本郷で「ACT(Artists Contemporary TOKAS)Vol. 7『複数形の身体』」が開催される。

 人間は、複数の身体からしか生まれず、現生人類が誕生したとされる約20万年前から、数えきれないほどの身体と身体の営みが堆積した歴史の上に生きている。いっぽう、医療技術の進歩により、人間は臓器や血液といったある個人の肉体の一部を取り出し、必要とする別の個人の体に移すことで、複数の人間の身体の一部が内在するひとつの身体を生存させることを可能にした。

 また、日常生活におけるデジタル世界の浸透は、個人の身体をバーチャルによって複数化させていきた。アバターや、アプリで加工されイメージ化された身体は、現実とは異なる多次元的な様相によって、複数のアイデンティティを形成している。

 本展では、複数形に存在する身体を探っていくことをテーマとし、身体間の相互関係を考察する3名のアーティスト、敷地理、庄司朝美、マリオン・パケットを紹介。敷地は、言葉になる前のコミュニケーションとしてのダンスにより、他者とのあいだに生まれる感覚を、別の身体に移植させて内在化させることを探究する。庄司は、自身の身体をとおして探る世界を絵画空間に落とし込み、鑑賞者と自身の身体を往来するような絵画体験を生み出すことを試みる。パケットは、公共空間と私的空間の境界を曖昧にし、自己と他者が関わりあいながら共存する集合的身体を浮かび上がらせる。

 彼らの作品は、互いに影響しあう身体の繊細な関係性や、その多元的なあり方を映し出し、人間が根源的にもつ身体的な想像力やその感受性を再認識させ、新たなる身体の可能性を予感させてくれるだろう。