青木豊「U」

　KOSAKU KANECHIKA 天王洲で、青木豊による個展「U」が開催されている。

　青木は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその新しい可能性を追究する活動をしてきた。2次元と3次元を自由に行き来するような作品や、素材の物質性や制作方法自体、そして鑑賞者の視線の動きの相互反応にフォーカスした作品を通じて、刻々と変わる絵画の豊かな表情を時間軸で瞬間としてとらえる試みを行っている。

　また、とくに青木は一貫して、光が時間軸、鑑賞者の存在、展示空間などの環境の要素に補完され、有機的に立ち上がるような豊かさをとらえ、いっぽうで光の存在の自明性自体を問い直すことをアプローチしてきた。実験と新たな発見のプロセスを繰り返すことによって、青木はつねに絵画そのものを再発見している。
　
「瞬間」と「時間」、そのあいだにある数えられないもの。世界の構造や多様な現象を認識するという行為と、絵画の平面性や物質性という普遍的かつ根源的な問題への探究を重ねあわせるのが青木の制作の核となっている。

　本展の会場では小さめの新作、1月25日から同時期に開催されている京橋のスペースでは大型の新作を、あわせて40点展示している。