EXHIBITIONS

インテクスト「Voice Transaction | 声の取引」

STANDING PINE 東京
2025.01.18 - 02.08

展示風景

 STANDING PINE 東京では、インテクストによる個展「Voice Transaction | 声の取引」が開催されている。

 本展では、「Voice Transaction」と題した新作を発表。AIや自動翻訳を介したグローバルなコミュニケーションが隆盛をきわめるなか、メッセージが本来の意図から切り離されて独り歩きし、誤解され、消費されることの意味を、作品を通して問いなおす。

 本作では、オーソン・ウェルズの古典映画『市民ケーン』を題材に、新聞王 チャールズ・フォスター・ケーンと、2度目の妻でオペラ歌手のスーザン・アレクサンダーが会話するワンシーンに焦点をあてたインスタレーションを展開。このシーンではテントの中で2人が感情を発露し言い争う様子が描かれるが、インスタレーションでは、映画のセリフ字幕や舞台道具を、ナスダック上場企業のロゴタイプや株価指数の情報に改ざんしたり、映像や音声そのものを生成AIを通して再翻訳などがされている。

 資本主義の構造に翻弄される実業家を描いた映画が、現代のグローバル資本主義を象徴するイメージや技術によって改変される様子は、映画が本来持っていた物語を無効化しつつも、映画と現代を別の切り口で結びつけ、新しい意味を見るものに想像させる。AIや機械翻訳を介した会話や言説であっても、同様に意味を汲み取ろうとしてしまう私たちの感性をユーモラスに揺さぶることで、コミュニケーションを支える言葉や発話に潜む、よりプリミティブな性質について再考させる。