EXHIBITIONS
なつやすみの美術館14 河野愛「こともの、と」
和歌山県立近代美術館で、なつやすみの美術館14 河野愛「こともの、と」が開催されている。
美術作家・河野愛(1980〜)は近年、「こともの」と題したシリーズの作品に取り組んでいる。河野自身は「異物 / 異者」と表記される古語として、この言葉を選んでいる。乳児の肌のくぼみに真珠を挟んだ様子を撮影した一連の作品は、そのやわらかな肌の心地よい感触と同時に、真珠という異物が肌の合間に存在する違和感、またクローズアップによる距離の測れなさ、そして怖さをも観者に感じさせる。
河野が「こともの」を制作のテーマとしたのは、2019年末、コロナ禍に見舞われる直前に出産し、子育てが始まったことがきっかけとなっている。見えないウイルスという異物が世界を脅かし、外出が制限されるなか、河野は生まれたばかりの乳児と向きあう日々を送ることになる。自分の身体のなかから生まれ出た存在ながら、コミュニケーションの難しい異者である乳児との生活は、その状況も相俟って様々な困難を伴ったが、その結果、河野に「こともの / 異物 / 異者」という存在に向きあう視点を与えることになった。
美術館には体系立てて集められた様々なコレクションが存在するが、収蔵された作品は過去の「遺物」でもあり、また作品同士は互いに「異物 / 異者」として存在している。それらを時代やジャンルに縛られることなく自由に出会わせることで、美術と美術館の楽しみ方を様々な視点から紹介する場として設定してきたのが、和歌山県立近代美術館が2011年より継続するシリーズ展「なつやすみの美術館」だ。
14回目となる今回、河野愛を本展の招聘作家に迎え、美術館のコレクションに「こともの」である河野の作品を加えることで、また河野自身が美術館のコレクションという「こともの"と"」と出会うことで、美術館を訪れる人にとっての新たな「こともの」との出会いの場を生み出したいとしている。
美術作家・河野愛(1980〜)は近年、「こともの」と題したシリーズの作品に取り組んでいる。河野自身は「異物 / 異者」と表記される古語として、この言葉を選んでいる。乳児の肌のくぼみに真珠を挟んだ様子を撮影した一連の作品は、そのやわらかな肌の心地よい感触と同時に、真珠という異物が肌の合間に存在する違和感、またクローズアップによる距離の測れなさ、そして怖さをも観者に感じさせる。
河野が「こともの」を制作のテーマとしたのは、2019年末、コロナ禍に見舞われる直前に出産し、子育てが始まったことがきっかけとなっている。見えないウイルスという異物が世界を脅かし、外出が制限されるなか、河野は生まれたばかりの乳児と向きあう日々を送ることになる。自分の身体のなかから生まれ出た存在ながら、コミュニケーションの難しい異者である乳児との生活は、その状況も相俟って様々な困難を伴ったが、その結果、河野に「こともの / 異物 / 異者」という存在に向きあう視点を与えることになった。
美術館には体系立てて集められた様々なコレクションが存在するが、収蔵された作品は過去の「遺物」でもあり、また作品同士は互いに「異物 / 異者」として存在している。それらを時代やジャンルに縛られることなく自由に出会わせることで、美術と美術館の楽しみ方を様々な視点から紹介する場として設定してきたのが、和歌山県立近代美術館が2011年より継続するシリーズ展「なつやすみの美術館」だ。
14回目となる今回、河野愛を本展の招聘作家に迎え、美術館のコレクションに「こともの」である河野の作品を加えることで、また河野自身が美術館のコレクションという「こともの"と"」と出会うことで、美術館を訪れる人にとっての新たな「こともの」との出会いの場を生み出したいとしている。