EXHIBITIONS

大橋英児「Roadside Lights 2」

2024.02.08 - 03.02

大橋英児 Roadside Lights V #143 2022 ©︎ Eiji Ohashi, Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

 Akio Nagasawa Gallery Aoyamaで、大橋英児の個展「Roadside Lights 2」が開催されている。

 大橋は1955年北海道稚内市生まれ。生まれ育った北辺の体験から冬などの厳しい環境下での荒涼美に魅せられ、20代後半よりヒマラヤ周辺の国々を訪れる。2008年より開始したプロジェクト「Roadside Lights」は、日本ではありふれた景色である「自販機のある風景」にスポットをあて、とくに冬を中心に全国を回り撮影を続けたもの。「ここでの自販機の姿は現代人と等価であり、孤独と希望を可視化したものである」と大橋は語っている。

 本展は、同廊において2回目となる同シリーズの展示となり、これまで日本では未発表となる作品を展覧。本展に際し、大橋は以下のステートメントを発表している。

「14年前の吹雪の夜に車を走らせていた。ホワイトアウトで自分のいる場所さえわからなくなっていた時、いつも見慣れた自販機の明かりで何処にいるのかを知るという経験をした。それ以来、自販機は私にとって特別な存在となり、世のなかを見る窓となった。
 路上にぽつんと佇む自販機の姿は孤独である。しかしこの景色は日本では当たり前で誰も気に留めることは無い、そんな自販機の姿に私は現代人を重ねあわせた。自販機たちは雨の日も雪の日もたたずみ、ひたすらお客さんを待ち続けている。その姿は、私の心につきささり、それは過去の失われた記憶の断片を可視化して行く。
 さらに自販機の輝く姿からは、かつての自分の日々の営みを見るだけでは無く希望も見えてくる。自販機が指し示す光の先に、希望と未来をも感じ取ることが出来る。その時、自販機は"ジェフ・クーンズの掃除機"のような究極のモダンアートとなる」。