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恵⽐寿映像祭 2024「⽉へ⾏く30の⽅法」

恵比寿映像祭2024 メインビジュアル

 東京都写真美術館、恵⽐寿ガーデンプレイス センター広場ほかで「恵⽐寿映像祭 2024『⽉へ⾏く30の⽅法』」が開催される。

 恵⽐寿映像祭2024は、「⽉へ⾏く⽅法」という命題を、写真や映像をおもとした様々な表現によってひも解き、アーティストだけでなく、そこに参加する観客とともに考えていく試み。歴史的作品から現代作品まで、異なる⾓度からイメージの可能性を探る国際芸術祭となっている。総合テーマは、⼟屋信⼦「30 Ways To Go To The Moon/⽉へ⾏く 30 の⽅法」展(2018 年)のタイトルより引⽤したものだ。

 2階展⽰室では、東京都写真美術館のコレクションを含む、多様な社会的・⽂化的背景を持った作家たちの映像、写真、資料などを展観し、そこから導かれる集合的知性によって我々の未来の在り⽅を探る。また展⽰室の中央では、連⽇、パフォーマンス、トーク、ディスカッション、ワークショップなどのプログラムを⾏い、作家と来場者がコミュニケーションを交わし、ともに思考を重ねていく場を提供。

 一人ひとりが出来事の⽬撃者や体験者となることで、記録の装置(メディア)、記憶の図鑑となるような鑑賞体験を目指す。地下1階展⽰室は、科学や理論では解明しきれない未知なる可能性や思考を⽰唆する作品やプロジェクトを紹介。2階を集合知的な空間とするならば、地下1階は、その集合知から学びながらも、さらなる想像⼒によって⾶躍する果てしない未来への旅のスタート地点と⾔える。3階展⽰室では、前回コミッション・プロジェクト特別賞受賞アーティストの作品を、「⽉へ⾏く 30 の⽅法」の切り⼝から展⽰し紹介する。

 恵⽐寿ガーデンプレイス センター広場では、特別プログラム「Poems in Code−ジェネラティブ・アートの現在/プログラミングで⽣成される映像」を開催。シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]のコアプログラムのひとつである「未来提案型キャンプ(Future Ideations Camp)」の構想を発展させ、恵⽐寿ガーデンプレイスのセンター広場にて、NFT(⾮代替性トークン)アートとしても注⽬されるジェネラティブ・アート作品について、「映像⾔語(Art & Alternative Visions)としてのプログラミング」からその表現を紹介。

 さらに、約4メートルの⼤型ビジョンを設置し、都市におけるデジタルサイネージを、個⼈/コミュニティの表現の場とする「映像メディアの公共性」から試⾏する。国内外約10組の招待作家にくわえ、キャンプ参加者による成果作品を上映する本プログラムから、映像⾔語としてのプログラミングの新たな可能性、そしてアルゴリズムが織りなす多彩な表現を鑑賞できるプログラムとなっている。

 今回の恵⽐寿映像祭の特徴のひとつは、映像の⼀回性に着⽬している点だ。映像という複製芸術でありながら、反復や⾮場所という性質とは正反対である⼀回性にこだわった作品、パフォーマンスやユニークピース、すべてを⽬撃(鑑賞)することができないような時間的な奥⾏きや限界に取り組む作品、また映像制作のプロセスに⾝体的な⾏為や思考を作⽤させることで、その場で完成し、消滅していくような作品を紹介する予定だ。そしてこれまで以上に、上映プログラムと展⽰プログラムを接続し、双⽅向の横断を試みたプログラムづくりを展開。