EXHIBITIONS
加茂 昂「化石としての風/復興としての土/祈りとしての風土」
PARCELで、加茂昂の個展「化石としての風/復興としての土/祈りとしての風土」が開催される。
加茂の作品は一見すると、美しく描かれマチエールが特徴的に強調されている風景画ではないが、その根底には風化し始めている震災後の記憶が深く関わっている。作品の象徴的なモチーフでもある風と土、震災に限らず各地域が失いつつある「風土」の現在地を感じることができる展覧会となっている。
加茂は、震災以降おもに帰還困難区域でのフィールドワークとリサーチを重ねてきた。本展覧会に出品されている作品はこの記録、およびスケッチをベースに制作されている。そのなかで加茂は放射能汚染の影響が視覚化する象徴としてのフェンスや看板などの境界線を描くようになった。
風は加茂の作品にも度々登場する象徴的なモチーフと言える。そんな風は人間が自ら定めた基準によって設置され、動きを制限されたフェンスや看板の手前にいる作家が風景を記録しているあいだも、立ち入りが禁じられている区域から軽々と人工物の脇を通り抜け、作家をも包み込む。
また本展では、帰還困難区域での除染土の課題に焦点を当てている。除染が進み、立ち入りが徐々に許され初めたエリアは田畑の除染が放射線レベルを下げるいっぽうで、土地の活力や田畑に欠かせない肥沃な表層土を剥ぎ取り、真の復興に向けた⻑期的な課題を提起している。加茂は土と詩の深い関わりを考察し、土の沈黙と、耕作地に関連する記憶の不可逆的な喪失に焦点を当てたシリーズも制作している。
加茂は福島でのフィールドワークを通して、福島が失ったものは風土であり「風土とは風を含む土のことである。風を含む土とは、人が鍬や鋤で耕し、その時その体に吹く風をその手で土に含ませることでようやく出来上がる生死の風景である。そして、風土はそこに祈りをも含む。」と語っている。
加茂の作品は一見すると、美しく描かれマチエールが特徴的に強調されている風景画ではないが、その根底には風化し始めている震災後の記憶が深く関わっている。作品の象徴的なモチーフでもある風と土、震災に限らず各地域が失いつつある「風土」の現在地を感じることができる展覧会となっている。
加茂は、震災以降おもに帰還困難区域でのフィールドワークとリサーチを重ねてきた。本展覧会に出品されている作品はこの記録、およびスケッチをベースに制作されている。そのなかで加茂は放射能汚染の影響が視覚化する象徴としてのフェンスや看板などの境界線を描くようになった。
風は加茂の作品にも度々登場する象徴的なモチーフと言える。そんな風は人間が自ら定めた基準によって設置され、動きを制限されたフェンスや看板の手前にいる作家が風景を記録しているあいだも、立ち入りが禁じられている区域から軽々と人工物の脇を通り抜け、作家をも包み込む。
また本展では、帰還困難区域での除染土の課題に焦点を当てている。除染が進み、立ち入りが徐々に許され初めたエリアは田畑の除染が放射線レベルを下げるいっぽうで、土地の活力や田畑に欠かせない肥沃な表層土を剥ぎ取り、真の復興に向けた⻑期的な課題を提起している。加茂は土と詩の深い関わりを考察し、土の沈黙と、耕作地に関連する記憶の不可逆的な喪失に焦点を当てたシリーズも制作している。
加茂は福島でのフィールドワークを通して、福島が失ったものは風土であり「風土とは風を含む土のことである。風を含む土とは、人が鍬や鋤で耕し、その時その体に吹く風をその手で土に含ませることでようやく出来上がる生死の風景である。そして、風土はそこに祈りをも含む。」と語っている。

