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コレクション展 「全部見せます!岩佐又兵衛《三十六歌仙》」

岩佐又兵衛 三十六歌仙 江戸時代 17世紀

 福岡市美術館で、コレクション展 「全部見せます!岩佐又兵衛《三十六歌仙》」が開催されている。

 岩佐又兵衛(1578〜1650)は、戦国武将・荒木村重の子(孫という説もあり)として生まれる。織田信長による一族虐殺を生き延びた又兵衛は、母方の姓とされる岩佐を名乗った。その後は土佐派や狩野派の絵画を習得しながら、どの流派にも属さず京都で活動。1615年には大阪夏の陣で豊臣氏が滅亡したことで福井へと移住した。今日、又兵衛の作品として伝わるものは、福井の時代に描かれたと考えられるものが多い。

 福井での又兵衛の評判は江戸にも届き、3代将軍・徳川家光の娘・千代姫の婚礼調度制作のため、1637年に江戸に招聘された。千代姫の降嫁後も、川越の仙波東照宮の再建に伴い、拝殿に奉納する《三十六歌仙》の制作を任されるなど、又兵衛はそのまま江戸に滞在することになる。

 又兵衛は生前より 「浮世又兵衛」の名で呼ばれていたとされ、その名から浮世絵の開祖と見なされるようになった。

 本展では、岩佐又兵衛が描いた2組の《三十六歌仙》が紹介されている。なお 「三十六歌仙」とは高名な歌人36人をピックアップしてその肖像を描いた作品のこと。36人の選定はいくつかのバリエーションがあるが、歌人・藤原公任(966~1041)の 『三十六人撰』に選ばれた歌人に依拠することが多い。又兵衛の《三十六歌仙》では、豊かな頬と長い顎など、激しくデフォルメを加えた特徴的な人物描写に注目である。