草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界

　草間彌生美術館で 「草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界」が開催される。

　草間彌生は1929年長野県生まれ。幼少期から幻視や幻聴を体験し、その体験から網目模様や水玉模様をモチーフにした絵画などを制作している。

　単一モチーフの強迫的な反復と増殖から生じる自他の境目が消えていく感覚を"自己消滅"と呼んでおり、幼い頃の幻覚に由来するこの実践は、創作を始めた当初からのテーマであるいっぽう、反復の制作原理や鏡の反射と光の明滅などによる作品表現には、1960年代後半にアメリカを席巻していたサイケデリック・ムーヴメントを追体験させるような視覚効果と重なり合うものがある。

　本展では、草間の作品世界にみられるサイケデリック性に着目して、様々な時代の創作ヴァリエーションが展示される。1960年代後半にニューヨークの個展で発表した六角形のミラールームのシリーズ最新作が初公開されるほか、ハプニングなどの記録動画を用いた映画や関連資料を通して、ムーヴメントの推進力ともなった当時の草間の活動を紹介する。

　また、内的イメージを自由に描き出した初期のドローイングを初め、帰国以降のアクリル絵画や大型の立体作品、ブラックライトを使ったインスタレーション、さらには短編映像や文学作品なども展示される。